ようやく本気で梅雨が開けたような一日、土蔵岳を歩いた。どこにあるのか。伊吹山の北北東23キロくらいにある。近江と美濃の国境の山である。
入り方はというと、北陸本線の木ノ本駅からバスを使い、終点の金居原(かねいはら)で下車する。ただしバスの本数が少なく、また京都からだと始発(7.04発)に間に合わない。仕方ないので8.34発を使った。
金居原バス停からから北へと村を抜け、国道303号線に出る。杉野川に沿って歩き、途中から土倉谷沿いの土倉鉱山(銅山)跡への道に入るのだが、ここでしくじった。というのも国道と鉱山への道が杉野川の右岸で交差しているので、その交差部を目指してしまった。実際はというと、鉱山道は国道の下をくぐっている。仕方なしに500mほど引き返し、国道と鉱山道(途中まで303号線の旧道)の接続点から入った。
杉野川を左岸に渡った所に分岐がある。直進すれば八草峠である。そこを北に折れ、土倉谷を遡る。すぐに土倉鉱山の選鉱場跡の横を通る。コンクリートの施設が廃墟と化し、マニアの人気となっているとか。でも中に入れないし、別子付近でも同じように光景に出会っている。その少し上流部に坑道跡と思える施設もある。
坑道跡から先は地道になり、400mほど歩くと東側から比較的大きな谷が合流する。そこに赤いテープが目印として付いている。今回はそこから取り付いた。今から考えると、もう500mほど先、道が大きくカーブする付近の方が登り口として良かったかもしれない。
最初は沢沿いに薄い踏み跡とテーブがあるものの、背の低い草の中である。マムシが怖いのでスパッツを付けた。テープにしたがい、左手の斜面を登る。砂利の斜面で滑りやすく、踏み跡が不明瞭だった。すぐに大きな杉の中になる。踏み跡が少し明瞭になり、やがてミズナラが出てくる。すぐにブナが混じる。
572mの独立標高点付近から傾斜が少し緩む。その後は明瞭な尾根で踏み跡もしっかりとする。大きなブナが出てくる。トチ、クリなどの他の広葉樹も混じる。標高750m付近でロープを見る。大トチを見るための新しいルートが分かれているようだ。
その後は再度急登となり、937mの独立標高点の南西側に出る。尾根が広い分、踏み跡が不明瞭になる。灌木のヤブも出てくる。今回は独立標高点を通過して北に向かったが、復路で確認したところ、踏み跡は独立標高点のすぐ西側のほうが少しだけ明瞭だった。
テープと地図でルートを確認しつつ、土蔵岳から南西に伸びる尾根に入る。踏み跡が明瞭になる。ブナの林が美しい尾根である。尾根には小さな起伏が複数あり、鞍部に水が残り、カエルもいる。
尾根は一旦標高860mくらいまで下り、その後2回、高度差50mずつくらい登る。2回目のほうが急で、登り切ると土蔵岳の山頂部だった。50mくらい西へ歩くと山頂(1008m)である。
山頂は岐阜県側にある。展望はない。土蔵岳の小さな名札がブナの大木にかかっていた。
実は土蔵岳からもう少し尾根を北西に歩き1065.3mの三角点のあるピーク(猫ヶ洞)まで行ければと思っていたのだが、土蔵岳までで疲れてしまった。しかも予定していた金居原15.03発のバスに間に合うかどうか怪しくなっていた。仕方ないので、今回は土蔵岳までとし、往路を戻った。
やはり937mの独立標高点付近が要注意だったが、行きよりはすんなりと通過した。標高750m付近からは大トチのルートを下ろうかとも思ったものの、どの程度の踏み跡か、リスクがあるので避けた。結局はまったく同じルートを戻ったのだが、土倉谷に下りる最後の部分だけは行きと微妙にずれてしまった。
937mの独立標高点付近で、予定していたバスに間に合わないことがはっきりとした。土倉谷に下りてから大休止をし、ゆっくりと金居原に戻った。
次のバス(17.45発の最終便)まで2時間ある。村の手前で着替えをしつつ、木ノ本からタクシーを呼んだ。5180円、思っていたよりは安かった。
金居原から登り口まで55分、登り口から土蔵岳まで2時間45分、土蔵岳から登り口まで2時間10分かかった。暑さのせいもあり、少なくとも1時間は余計にかかっていると思う。
上の写真は土蔵岳の手前、937mの独立標高点付近だと思う。杉野川付近から見えた。土蔵岳と猫ヶ洞付近も木の間からちらっと見えたが、うまく撮れなかった。下は土蔵岳の山頂である。
2022/07/30