政府が電気料金補助政策を採用する方針を固めたとか。ガソリン代といい、今後目指すべきエネルギー政策、二酸化炭素削減政策とは大いなるミスマッチである。岸?、岸田?、名前を忘れそうな政権の支持率向上だけを目指した政策だろう。
9/29の日経新聞によると、仮に電気代の10%を政府が負担するとすれば年間1.4兆円になるとか。ガソリン代の補助(石油元売り会社への補助金)は今年1月から始まり、9月末までの政府負担は1.9兆円、12月まで続くと3.2兆円になるとの計算らしい。
政府は、原油価格や発電のためのコストが下がれば補助を止めるつもりだろうが、そんなに上手く事が運ぶと予想するのは楽観的過ぎる。その場合、政府が補助を止めると電気料金が上がるので「望ましからざる政策」となる。
日本の財政が豊かなら目くじらを立てるほどではないのかもしれないが、今や国の借金は国民総生産(GDP)の2倍に達していて、先進国の中でトップ(正直に書けばドベ)である。「エネルギー価格の上昇が一時的なハプニングだから当面は政府で面倒をみよう」なんて余裕が本当にあるのだろうか。
一方で、防衛、医療、年金、教育、先端的な研究など、多額の予算を必要とする課題が山積している。余裕のない財政なら、これらを優先すべきだろう。
エネルギーに関して言えば、太陽光や風力発電の推進をやらないといけない。原子力に関して、政府が推進すると決断したのなら、安全対策はもちろん、新しい技術の開発も急がれる。
それに加え、足元で生じている電力不足対策として、送電線や送電コントロールのための投資も焦眉の急である。電気料金の補助なんて余裕があるのだろうか。そんな予算が捻出できるのなら、先に書いたように抜本的な電力対策を施し、「節電をお願い」なんて先進国にあるまじき政策を回避すべきである。
もっと言えば、電力やガソリン価格が上がると、節約の努力が促される。今の日本は(欧米もそうだが)エネルギーに関して贅沢過ぎる。節約すれば10%や20%の削減は簡単である。真夏や真冬にオンラインでの勤務を増やせば節電になる。1駅や2駅は歩けばいい。車を使わずに公共交通機関を使えばいい。
都会では夜も明るいため、星空が見えない。見えるようにすれば子供の教育にもなる。照明を落とせばいいだけではないか。夜中以降のテレビ放送なんて止めればいい。
その他、いろんな工夫が可能なはずである。日本独自の工夫をして、電力や二酸化炭素を削減したいものだ。
2022/10/01