三重県の山、布引山地にある経ヶ峰を歩いた。布引山地は伊勢と伊賀の境をなしている。主峰は青山高原の北端、笠取山(842m)であり、それに次ぐのが今回歩いた経ヶ峰(818.8m)となる。
アプローチとして一番簡単なのは津駅から経ヶ峰の東側の登山口を使うことだろう。この地方で人気のある山だから、一般的なハイキングコースが何本もある。しかしそれでは面白くないうえに、京都から津までは遠い。
今回は次のコースをたどった。
まず伊賀上野に出る。そこからバスを使い、伊賀街道(伊賀と伊勢を結ぶ道)が布引山地を越える長野峠の、伊賀側で降りた。
バスは上野の中心部(伊賀鉄道の上野市駅)から出る。その朝2番目のバスの時間に合わせた。すると、京都からJR奈良線で木津に出て、関西本線に乗り換えて伊賀上野まで行き、そこから伊賀鉄道を使って上野市駅に出るのが早かった。なお時間帯によっては草津線の柘植から関西本線に乗り換えるのがいい場合もある。なお朝1番のバスには京都からでは乗れない。
バスは三重交通の汁付(しるつけ)行きである。バス停から1キロほど国道を歩き、その後0.7キロほど旧国道を歩く。その後、かつての伊賀街道に入り、長野峠に上がる。峠の南側の林道をしばらく歩いた後、稜線に出る。稜線は、最初は北東へ続き、そのうち南東を向く。思った以上に小さなアップダウンが続くものの、道はしっかり付けられている。
経ヶ峰の手前、標高785mのピーク(大洞の峯)前後付近から展望が開けてくる。ハイキングコースと合流した後、アセビの多い平らな道をルンルン気分で歩き、最後に一登りすれば経ヶ峰の山頂だった。展望は360度ある。天気が良ければ富士山まで見えるらしい。当日は御岳付近がかすかに見え、鈴鹿、比良、六甲、生駒、曽爾、青山高原、台高、松阪3山、伊勢湾まで眺められた。
山頂で昼食の後、経ヶ峰の北東尾根を下る。稲子山(574.3m)までは準ハイキングコースのはずなのだが、途中から痩せ尾根気味の箇所が現れ、細かなアップダウンが続くようになる。標高720mの稲子山南峰から大きく下り、高度差20mほど急登すると稲子山(574.3m)だった。展望は北側の一部のみである。
稲子山から北東尾根をさらに下り、摺鉢山(464.2m)に向かう。この部分はあまり歩かれておらず、紛らわしい分岐もある。また鋭角的な小ピークがあり、その前後は花崗岩質の砂利もあって歩きにくい。地図で尾根を確認しつつ歩き続け、最後に高度差60mほどを急登して摺鉢山に着いた。展望はない。
摺鉢山からの下りの道が不明瞭ではないかと心配したが、思った以上に整備されていて、テープも多い。ただし麓の村、小野平に近づくと道が不明瞭になる。小野平から登る場合は道を探すのに苦労するかもしれない。
小野平から椋本まで歩いた。椋本の地名の由来となった大木、「椋本の大ムク」を見るためである。見学した後、タクシーを呼び、関西本線の亀山駅に出た。亀山からは柘植で草津線に乗り換え、京都に戻った。
汁付のバス停から歩き始めたのが9時45分、椋本の大ムクに着いたのが16時20分だった。アップダウンが多かったためか、予想以上に時間がかかった。
上の写真は、左から経ヶ峰、稲子山、摺鉢山である。中央に稲子山南峰がある。右手(北側)に大きく下がっているピークである。その大きく下がった稜線が少し上がって稲子山になる。さらに右手、丸く大きなピークが摺鉢山である。また、稲子山南峰から左に続く尾根の、3つ目のピーク(黒い雲の端付近)が経ヶ峰である。なお、稲子山という名が目立たないピークに付けられている理由はわからない。下の写真は椋本の大ムクである。樹齢1500年以上と説明書きにあった。
2022/10/29