稲子山から西に下れば錫杖湖である。道は比較的良さそうだった。一方、東へ摺鉢山を目指す下りはあまり明瞭ではなかった。それでもテープの印があり、踏み跡もちゃんとある。
最初、稲子山の斜面を大きく下る部分は、踏み跡を注意深く追う必要がある。その後は尾根に入り、迷う心配が少なくなる。とはいえ、右手(東)へ、小野平(滝)方面に下る分岐が2箇所あり、そこにもテープの印が付けられているので紛らわしい。違うことを地図で確認した。
小野平への分岐を分けた後は、テープの印がほぼないに等しくなる。とはいえ注意深く歩くと、尾根上に踏み跡がちゃんとある。
尾根には少し大き目の登り(ピーク)もあり、そこには花崗岩質の砂が多く、滑りやすい。適当に尾根を巻きつつも、離れれば尾根に戻るというコース取りも何回かやった。
途中、シロダモと思える黄色いフサ状の花が咲いていた。その付近から摺鉢山と思えるドーム型のピークが見えるようになる。
全体として凹凸の多い尾根ながら、最後の摺鉢山の登りは非常に急である。直登気味に登ってもいいのだが、ピークの南側を巻く踏み跡があったので、そちらを選んだ。もっとも、最後は灌木の幹をつかみながら登った。
摺鉢山の山頂は少し南北に長かった。広葉樹の林の中に三角点(464.2m、点名は摺鉢山)がある。周囲よりも頭一つ抜け出した高さである。
少し休んだ後、小野平へ下る道を「あるのかな」と思いつつ探した。というのも、小野平から摺鉢山への登りが分かりにいとの記録を目にしていたからなのだが、意外にも山頂の東側にすぐに見つかった。テープの印があり、かつ踏み跡もしっかりしている。
踏み跡を見失わないように摺鉢山の斜面を慎重に下ると、じきに尾根道に入った。後は尾根上の明瞭な踏み跡をたどるに近い。テープの印も多い。
とはいえ下るにつれて枝道が多くなるし、ネットの地図情報でも踏み跡が何回か分かれる。どうなるのか(どの道を選べばいいのか)と思っていたところ、道が非常に明確となった。新しく整備された様子である。植林を手入れする作業道と送電塔の巡視路を兼ねているようだ。南山の村落に一番近い尾根上の道である。
もっとも最後の部分、村に出る箇所は分岐が多過ぎ、地図を見つつ適当に歩かざるをえなかった。結果として地形図に記された小野平から北西に伸びる破線路をたどった。昔はよく踏まれた道のようで、溝状だった。「千度坊の石仏」という大きな岩に複数の石仏が線刻されたのを見た後、墓地の横を通り、小野平の村中に入った。
村を出ると経ヶ峰から摺鉢山が、逆光の中、大きく見えた(10/29の写真)。急げば椋本16時14分発のバスにぎりぎり間に合いそうだったが、大ムクを見たかったことと、椋本から亀山まで近かったこともあり、摺鉢山の意外に大きい姿を愛でつつ、車の少ない県道をのんびりと歩いた。
その椋本の大ムクへは案内板と石柱とがあった。大ムクを見た後でタクシーを呼んだが、当日は休んでいる運転手が多いとかで、30分少し待たされた。いい山歩きだったので、多少待たされても仕方なかったのだが。
上の写真は摺鉢山の山頂である。下は千度坊の石仏である。
2022/10/31