川北英隆のブログ

家のカキフライ以外は嫌いや

月曜日の日経新聞夕刊には小泉武夫さんのコラムが掲載される。12/26はカキフライだった。そのコラムに家内が頷き、拍手喝采し、絶賛した。僕もそのとおりだと思う。
何に感じ入ったのか。小泉さん曰く、店屋でカキフライを買ってくると「衣が厚すぎる」「カキの身が小さすぎる」ものが大半だから、「家で作るしかない」と。
まさにこれが現実である。店屋で食べてもほぼ同じである。もろろん例外がある。僕が経験したのは東京四谷荒木町の鈴新である。今もカキフライを提供しているのかどうか不明ながら、中大の市ヶ谷に勤務していた冬、昼飯によく通った。
店屋は自分自身が食べて美味いと思えるものを提供すべきである。美味くないものを提供していたのでは、その店の信用を下げる。美味いものを提供しようとすればどうしても値段が高くなるのなら、「このカキは小粒ですが、それなりに頑張って味を出しました」と書いておけばいい。それを厚い衣でごまかそうとするから不味くなる。
カキ以外の食品もそうである。食品以外の商品もサービスもそうである。何か難があるのなら、それを正直に説明しなければならない。
難を隠して高く売ろうとするから、後で苦情がくる。金融商品もそうである。最近の好事例は仕組債だろう。仕組債は、表面的には利率が高いのだが、ある出来事(株価が下がるとか、円安になるとか)が生じると損失を被るようにできている。損失の可能性が大きいから、表面利率が大きいだけである。そんなものを堂々と、いかにも「儲かりまっせ」とばかりに売っていたのでは、証券会社や銀行の信用が失墜してしまう。
と書いて、「そういえば化粧品があったな」と思い出した。男も女も化粧する時代になり、化粧品会社があの手この手で宣伝している。化粧品で難を隠したとして、馬脚が現れた時にどうなるのだろうか。「食品のようにはいかないなあ」と嘆息する。

2022/12/28


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