今日の日経新聞によると、防衛費増額の財源確保のため、国債の償還期間を今の60年から80年に延ばすことも重要な検討課題になるとか。80年は例示だろう。本音は召喚しないことかもしれない。
「確かにね」と「60年で国債を償還する」という規定があることを思い出した。
「何のこっちゃ、10年国債は10年で返すのと違うんか」というとこだが、もちろん10年国債は10年、20年国債は20年で償還される。しかし、その償還金の多くは借換債の発行で賄われる。ほっておくと「借り換えを続けて永遠に返さない」ことも十分にある。
そこで60年で返すように、国債残高の1/60を国債償還費として計上することになっている。60年とは、調べていないので推測だが、最初の国債は道路などの建設に使うとの名目で発行されたので、その道路などの耐用年数が基準になったのだろう。
国債償還費を捻出するため、新規に国債が発行されることもありうるが、少なくとも国債償還費は国としての必要経費となるから、その金額だけ他の支出を抑制しようとの力が働く。ということは、60年を80年にすればその力が弱くなる。
日本は借金大国である。先進国の中で突出している。失礼ながらも「いい加減な国」とのイメージの強いイタリアをはるかに凌駕している。ひょっとしてギネスブックにも「国債の最大発行国、日本」として掲載されているのではないかと思ってしまう。
日本として必要なのは、国の無駄な支出を抑制し、それを必要な先に向けることである。しかし、その議論はほとんど聞かない。
むしろコロナ禍へのその場しのぎ対策として膨大な予算を組んできた。使い切れない予算があったし、思い出すとアベノマスクもあった。さらにコロナ対策に味をしめ、「これや、あれや」と人気取り的なバラマキに知恵を絞っているのが政治の現状である。ある意味、政治の無策を煙幕で隠そうとしているかのようだ。
60年を80年にしようというのも、その煙幕の一種だろう。償還までの期間を延ばせば、計上しないといけない国債償還費は少なくなる。いかにも「支出を抑制し、財政赤字を減らしました」「その減らした分を防衛費に充てました」となる。
裏を知れば噴飯ものだ。もしくは、「そんな煙幕的な知恵を絞ってもらうために国会議員として選出したのではないのやけどな」と思う良心が出てくるかも。
2023/01/17