日本の税制や社会保険制度はスパゲティーというか、「もつれた糸」状態である。普通はスパゲティー状態と表現されるのだが、好きな食べ物だから、代わりに「もつれた糸」と表現しておきたい。
要するに、何が何だかわからない。知らなくても実害がないのならともかく、知らないと大きな損をしてしまう。それと、ある程度の知能があっても事実関係の理解が難しいし、とくに知能の減退する老人になってから「知らないと損する」状況に追いやられる。
ある知人は、一昨年だったかに65歳を超え、年金受給が始まった。その彼からメールが届いた。某区役所から「介護保険料納付確認書が届いて、普通徴収なので社会保険料控除を受けるには住民税の申告が必要」と書いてあったとか。電話して問い合わせたところ、確定申告をしろとのことだったとか。彼はまだ給与所得者であり、そこで年末調整の機会があったのに、昨年には何の知らせも来なかったとか。だから怒っていた。
何とか知らせてくれただけましなのか。とはいえ、そんなことを厚労省ではなくて区役所から、それも年末調整が終わってから知らせるなんて、いかにも「下請けを使った手仕事日本」の代表事例である。この場合の下請けとは区役所、親元は厚労省である。
給与所得者なのだから、厚労省から介護保険料の数値を関係者に知らせ、少なくとも年末調整の書類に事前に印字するようにすべきである。それに反した現状の、国民をバカにした、役所に有利に仕組まれた、さらには役所のデジタル音痴度の高さを誇る制度に驚きを禁じえない。というのが知人の怒りの原因だろう。
介護保険でもう1つ、最近では「要支援1」程度では誰も支援に来てくれないらしい。要因は人手不足とか。「誰もいないのやったら仕方ないな」と言えばそれまでなのだが、「それやったら介護保険料詐欺やんけ」とも言える。「この詐欺師、泥棒」と罵られないたくないのなら、その分の介護保険料を返却してほしいものだ。
将来人口を推定し、労働者を管轄しているのは厚労省である。介護保険も同じ厚労省である。とすれば、労働力不足で介護保険が十分に機能していないという現実は、身内のどこかが将来設計をミスった結果である。国民からすれば「困ったなあ、誰を信じればええのやら」というところか。
2023/01/27