川北英隆のブログ

DXを言う前にまず西暦を

政府はDX(Digital Transformation )に躍起である。IT技術で生活の利便性を増そうとしている。「でもね」と思う。「大きな障害があるやろ」に。
元号である。先日、近鉄榛原駅の定期券売り場(だったと思う)に元号と西暦の変換表があった。友人は「DXを言う前に西暦を使え」と半分怒っていた。
政府の公式書類は(パスポートは違うが)すべて元号を使っている。すぐに変換できるすごい頭脳を持っているのかと思っていたら、あるキャリアの役人が少し考えながら西暦を元号になおして喋っていた。
国際会議などでは当然のことながら西暦で喋るはずだから、活躍している役人はまずは西暦で覚えているのだろう。だから元号で喋るのに少し時間がかかる。
銀行の通帳は、元号を使っている銀行と西暦の銀行とが混じっている。これまたややこしい。2つの銀行の入出金を調べようとしたら、頭の中を切り替えつつになる。
別に天皇制に反対しているわけではない。ややこしいだけなので、簡単にして欲しいと言ってるだけである。
私的に元号を使ってくれればいいだけ、公的なものに元号なんて、とくにデジタルの時代にふさわしくない。つまり簡単に年数や日数の計算ができない。
とくに元号の変わる年が問題となる。僕の母親は1926年12月2日生まれだった。昭和になったのはその年の12月25日である。だから大正15年生まれなのだが、同じ月に生まれた者には昭和元年生まれもいる。「ワテの父親は大正15年生まれやけど、アンタとこは」と質問して、「昭和元年や」と答えが帰ってきた時に、「昭和か、えらい若いな」なんてトンチンカンなことになりかねない。
逆に昭和の最後64年は、1989年の1月7日までと短く終わった。平成は2019年4月30日に31年間の寿命を終えた。
元号でその年のことを書き、喋ろうとすると、始まりと終わりを正確に覚えていないといけない。「あほらしや」となるのだが、多分今の政府はその点にも細やかに配慮しているのだろう。他にすることがないのだろうか。
いずれにしても普通の老人にはついていけない。何とかしてくれやというのが本音である。

2023/03/16


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