川北英隆のブログ

人工知能はどこまで知能か

人工知能に注目が集まっている。対話型AIの先駆として公開され、利用可能となった「チャットGPT」に関する議論やその活用、対抗策のニュースなどがかまびすしい。でも、現時点でのAIが本当のところ、どこまで活躍できるのだろうか。
将来はともかく、現時点での問題は「AIが利用できる知識の広がりと深さ」だろう。AIが利用するのは、社内情報は別にして、インターネットかそれに類似する場所での公開情報である。その公開情報の量と質とが問題になる。
グーグルで検索してきた経験上、残念ながら現時点において公開された情報は万能ではない。むしろ誤りも多いし、情報のすべてがネット上で得られるわけでもない。
たとえばグーグルマップには空白が多いし、間違いもかなりの割合にのぼる(10%には達しないが、少なくとも数%混在している)上に、故意に書かれた情報もある。つまり、情報の範囲や信憑性に問題があるから、その既存の情報に基づいて生成されたチャットGPT類にも多くの空白と間違いが含まれてしまう。
またチャットGPT類が一般化することを想定するなら、対抗手段も広がるだろう。情報をネットに上げない、上げるとしても限られた範囲にしか公開しない、すなわち情報にアクセスするためのキー(暗証番号)を要請することが通例になるかもしれない。
さらには当然なことだが、偽情報を流そうとのインセンティブも強く働く。その偽物を排除することがどの程度可能なのだろうか。情報のランク付けが社会的な要請になるかもしれない。
つまり、チャットGPTをはじめとするAIの知識レベルに対する懸念があるのなら、別途、それへの対策が必要になる。極論すれば、人間の目でAIが作り出したものをチェックすることになる。
この点、受け取ったメールに対する返信の下書きや、会議や報告書の内容の集約などであれば、チェックの手間も大したことにならないだろう。AIのレベルが低くなければ、下手な部下を使うよりも効率的かもしれない。
一方、広く情報を収集させ、ポイントをまとめさせる作業はどうなのか。もう少し様子見かもしれない。情報を集められる側としては、今からAI対策を練るのは泥縄かもしれないが。

2023/04/15


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