川北英隆のブログ

国営放送ビジネスモデルの変

内容と議論の方向を十分には知らないが、わが国の国営放送は実質的な税金、すなわち受信料をパソコンやスマホからも徴収したいと考えているようだ。これまでのラジオやテレビに続き、「濡れ手に粟」で3匹目のドジョウを目指しているようだ。
娯楽の少なかった時代、ラジオやテレビに受信料という実質的な税金を課せられても、「まあしゃあないか」「国営放送が先駆者やし」と、ある程度納得できた。
だからラジオはともかくも、テレビの爆発的な普及で国営放送は大儲けをした。時代は移り、民間のテレビ局や新聞社は苦戦して縮小均衡に突入しつつあるものの、受信料のおかげで国営放送にはまだその気配が薄い。
例えば国営放送の記者が使える交際費は民間の比ではなさそうだ。取材したいと依頼が来る場合、国営放送は「昼ご飯はどうですか」との質問と一緒の場合が多かった。それも中級以上の食事である。
指定された取材現場に赴くと、確認するように「昼ご飯は」と記者に聞かれ、こちらが内心「デブになるやん」と思いながら「昼飯を食べたので、お茶だけで」と断っても、「こっちはまだなので」と相手が勝手に食事に入った場合さえある。
要するに国営放送は広告を得るという営業の必要がない。一度受信契約をさせたら後は取りはぐれがない。放送がどんなにつまらなくても文句の声が後で届くだけである。天国の職場に近いだろう。
そんな天国の後退がようやく国営放送にも訪れようとしている。人口と世帯数の減少である。契約者の死亡などにより、契約数が減れば収入が減り、記者の昼食は自腹になってしまいかねない。
そこでひねり出された新手というか奥の手というか、それがパソコンやスマホから料金を強制的に徴収する方法である。
「でもね」と思う。国営放送が先駆者としてパソコンやスマホでの情報提供を始めたのではない。後からのこのこやってきて、金を寄こせと要求する、それも法律に基づく強権的な要求だと思うと、どこかの国の二番煎じである。
国営放送の公共的な役割や必要性をあれやこれやと訴えるのなら、それこそ税金として徴収すべきである。その方がすっきりとする。
今の政府は必要な対策にかかる費用だと主張しつつも、それを税金として徴収することに尻込みしている。だから「健康保険料ならいいかも」とか発想する。税金なら、無駄遣いしていないことを証明しなければならない。それが嫌なのだろう。発想が国営放送と似ている。昼飯代が自腹になるという算段に近い。ひょっとして宴会代もかな。

2023/05/31


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