石山駅から帝産バスに乗り、田上中学校前で降りた。改めて地図を見て、前のバス停、新免の方が近かったと反省したが、大差ない。少し先まで歩き、川の手前で南東に折れた。堂山が正面に見える。梅雨の合間なので日が差すと非常に暑い。
新免の村中にある西性寺へは裏側から回ることになった。寺の表に出ると、なかなか清楚な姿がある。寺の向かいに道標があり、堂山への道が村中から折れ、南へと続くと示している。道標に従って100m少し歩くと新宮神社の入口である。牙と爪に彩色されたいかつい狛犬の前を通り、まずは神社を拝んだ。
境内の右手に管理用の建物があり、その裏に堂山への道がある。狛犬まで戻り、地図を見て、この点に気づいた(迂闊続きやな)。堂山への道は明瞭ながら、細く、またシダの被さる部分が多い。
と、フェンスが現れ、「高速道路工事のため、通行禁止」とある。迂回路もない。「メインのルートまで戻ろうか、どうしようか」と迷ったが、目の前の工事現場に何の動きもない。早朝だから、工事が始まるまで時間がある。突っ切ることにした。
問題は、工事現場付近で登山道が壊されていることだった。地形図によると、登山道は工事現場付近から尾根に取り付いている。適当に斜面を登ると、工事現場の真上に元の登山道が残されていた。後はその道をたどればいいだけと思った。
ところが工事のため最近はあまり踏まれていないのだろう、シダの被さる部分が多く、また灌木の枝がリュックなどにぶつかる。当日は梅雨の晴れ間、明け方には山に霧がかかっていた。このため、草木に露が多く、それがこぼれ落ちて腰から下が濡れてしまった。スマホ画面の保護用ガラスにも、貼り付けた隙間から水が入った。
道は腐った花崗岩の上に付けられている。所々、花崗岩の岩場もあり、展望が開け、目指す堂山と、登ってきた琵琶湖方面が見える。少し急で砂のために滑りやすい岩場を2箇所過ぎ、堂山の東尾根に出た。メインルートとの合流点でもある。
堂山手前の小ピークを越え、登り返すと山頂の一角だった。山頂には同程度の高さの3つのコブがある。コブとはいえ、大きな花崗岩が囲む。地形図上の山頂は一番西側である。真ん中の山頂から南に大きく下り、鞍部の少し先から、ロープを頼りに岩場を登る。
山頂には大きな岩があり、灌木の間から琵琶湖方面など四囲の展望が得られる。三角点の代わりに一等基準点(383.3m)がある。地形図の独立標高点(384m)と高度のズレがある。
山頂から北に下ると(実はここでも間違いそうになり、岩場を戻ろうとした)、すぐに西尾根に入れる。しっかりしたルートながら、腐った花崗岩と岩場の下りがある。岩場が終わり、やがて尾根が南を向き、堰堤の下の河原に出る。天神川の支流である。
河原を渡り、沢沿いに下るのだが、すぐに沢は花崗岩の斜面を流れ落ちるようになる。梅雨で水量がある。登山道は何回も沢を渡る。岩場の渡渉であり、普段よりも流れが上にあるため、慎重になる箇所もあった。
下り切ると天神川である。少し上流部に向かって歩き、河原に出る。天神川も梅雨で水量がある。流れを大きな石で堰き止めた箇所を渡り対岸に出る。車道に上がり、後はバス停まで歩くだけである。
高速道路の架橋工事の箇所をくぐるとアルプス登山口のバス停である。バスの出ていく姿が遠くから見えた。「乗れれば1時間早かったのに」と残念だったが、南郷洗堰まで歩くのが当初の計画だった。大きな車道をなるべく避けながら、途中の毛知比(もちひ)神社を見つつ、歩いた。
上の写真は堂山の山頂である。基準点も写っている。下は何回か渡渉する沢である。写真では沢を渡った右手にコースが見えている。
2023/07/07