先日登った堂山(384m)は湖南アルプスの一角にある。どこからどこまでが湖南アルプスかよく知らないものの、地形図に名前のあるこの地域のピークでは、堂山が最後まで残っていた。リストアップしてあったのだが、半分忘れていたのが正直なところだ。
学生時代、蛭ヶ野の大日岳へ登りに行く途中、クラブの同級生(工学部土木)が湖南アルプス方面を指差し、「トパーズのかけらを拾ったで」と話していたのを思い出す。「そんな宝石が京都の近くで見つかるのや」と知った。とはいえ京都に移住するまで、湖南アルプスとは縁遠かった。
堂山がそうだったように、湖南アルプスは花崗岩質の山である。堂山の北東に鶏冠山(490.8m)、その南に竜王山(604.6m)がある。この2つのピークを結ぶ稜線は花崗岩の岩場が続き、迫力があったのを思い出す。
調べると、トパーズは堂山の東南東、田上山(地形図では太神山、599.6m)付近でかなり採れる(採れた?)らしい。検索すればわかるが、日本一の良品が出たとのことである。
10年少し前、太神山に登った時には「アルプス登山口」バス停で降りた。山歩きが目的だったからトパーズの探索はしなかった。太神山の山頂までは東海自然歩道である。その後、矢筈ヶ岳(562m)に登った。さらに稜線をたどって笹間ヶ岳(432.9m)に向かおうとしたのだが、季節は10月末、「マツタケ山のため通行禁止」と表示されていた。
表示に素直に従い、ルート探しをしながら矢筈ヶ岳の南西側に下り、「これも何かの縁」と猪背山(553.2m)に寄り、その後で笹間ヶ岳を越えた。
堂山の道路工事もそうだし笹間ヶ岳のマツタケもそうだが、里に極めて近いだけに、湖南アルプスでは障碍が多いのだろう。また登山ルート以外の枝道も多い。比良や六甲のような主要な山域ではないから道標が少ない。しっかりと地図を見つつ歩かないと、今回の堂山と同様、違うルートに片足を突っ込みかねない。
湖南アルプスは花崗岩質の山域のため、岩場が目立つのか。それもあるだろうが、人口密集部(京都や滋賀)が近かったから、木々が燃料用に伐採されたのだろう。韓国の山がそうであるように、伐採後にむき出しになった土壌が雨で流され、岩場が露出したと考えられる。
山陽新幹線に乗って車窓を見ていると、姫路や岡山付近でやはり岩山が目立つ。低山だから木の伐採がしやすい。だから岩が露出する。低山なのに何で岩山なのかと思いがちだが、実は里に近い低山だから岩山なのだ。
湖南アルプス近辺で、僕にとって歩き残したピークは多分ゼロになった。もう少し山歩き用ソフトに示された足跡を探ってみるが、湖南アルプスではトパーズ探索くらいが次の候補かもしれない。
2023/07/09