桑原章人氏の訃報が届いた。僕が資金証券部長(そういう部名だったかな)として研究所から日本生命本体に出戻った時の、前任の部長だった。確か1歳年上である。そんなところまで訃報の範囲になったのかと残念なような、危機意識を持つべきなような。
なかなか気性が激しい、怒ると電話を投げつけると、僕の部下になった何人かが忠告してくれた。でもまあ「そんなの関係ない」と桑原氏と付き合った。彼が上司に対してどう接していたのかは知らないが、年次が下の者に対してはずけずけと教えてくれた。
その後、役員会でも一緒だったことがある。昔風に表現すると少しだけながら恰幅がよかった。貫禄があった。保険の営業を経験していたから、そうでないとというところか。
最後に桑原氏の名前を聞いたのは、彼よりも少し年次が上の元役員が話してくれたキューバ旅行のことである。二人はカナダ経由でキューバに入ったとか。
どちらがどちらだったか忘れたし、正しい記憶なのかも怪しいが、確かカナダ経由だとタバコが吸えたとか。どういう理由でキューバだったのかは完全に忘れている。キューバといえば葉巻、その趣味で旅行したのかも。
タバコはともかく、僕もキューバの山に登ろうかなと考えていた頃である(実現していないが)。同じような地域を考えるのだなと、少し親しみを感じた。
寂しいものだ。もう一度どこかで、日本生命のことを話しして、ついでに旅行のことを聞きたかった。ご冥福を。
追記:投げつけるのは電話ではなくステンレス製の薄い灰皿だったような。当時の電話にはまだ尻尾がついていて、簡単には投げられなかったように思う。とすれば、タバコを吸うのが桑原氏で、彼の死因は肺がんだったのか。
2023/07/13