川北英隆のブログ

買い物は値引きではなく質

友人がブツブツと嘆いていた。猫も杓子もポイントである。そのしょうもないポイントに日本全国が力を注いでいる。「ポイントってどうでもいい、直接値引きをしろや」と。
確か2回書いたように、某メガ銀行が力を注ぐポイントはシステムが複雑過ぎる。たかがポイント、みみっちい値引きを受けるために買手が四苦八苦してアプリをインストールし、いろんな設定をしなければならない。本末転倒のことをさせてくる。
某通信会社系のポイントは、いちいち暗証番号を求めてくる。「はしたポイントの暗証番号なんて覚えてるわけないやん、銀行のキャッシュカードのように単純な数字の羅列ではないし」である。
ポイントは業者が顧客を囲い込むための撒き餌である。その撒き餌さえ簡単に食べられないなんて、魚以下の扱いしか受けていないことになる。
大阪人は「値切り」の文化に染まっていた。正価の方が買いやすいのは確かながら、値切るのもたまには必要かも。子供の頃、親が値切っていた。僕も東京に出てきた頃、親の真似をしてカメラ屋では値切っていた。言えばいくらか引いてくれたものだ。そのうちポイントカードに切り替わった。
最近思うのは、「その撒き餌を食べたいと大群が押し寄せていること」の変さである。これも前に書いたが、いかにたくさんのポイントを集めるかのテクニック、ポイテクと言うべきものが流行っている。
少し調べるとポイ活とある。月平均で2000円稼げるとも書いてある。幼児のお年玉程度か、それ未満。「そんなことに熱を入れるくらいなら、もっとまともな稼ぎに身を入れろや」と思ってしまう。
某日経新聞が毎週このポイテクのコラムを掲載している。最初は噴飯していたが、近頃は「よく続くな」と感心してしまい、見出し程度は読んでしまうのだが。
もちろん僕もポイントの恩恵にあずかっている。しかしそのポイントのバックには「便利だから」がある。便利だからよく使い、よく使うからポイントもそれなりの金額になりそうだ。だから「ポイントの設定をしようかな」となる。
強調しておくが、ポイントをもらうために物やサービスを買うわけでない。「ポイントのために買う」は業者の罠である。僕としては、撒き餌に食いつき釣られる魚に成り下がりたくない。
初心に帰ろう。買い物は、それが何であれ、まず好みであり、質である。少々安くても質が良くなければ「安物買いの銭失い」になる。ましてや好みでなければ、安くてもゴミにしかならない。
これは投資の世界でも同じである。今、日本の投資信託は「手数料の値引き合戦」にあるとか。質が悪いから(質を良くできないから)値段でしか勝負できないのかと、勘ぐってしまう。投資家は手数料を見る前に、その質の良し悪しを判断しなければならない。わからなければその業者の行状であるのだが、ほとんどの場合、唸るしかないかな。

2023/07/26


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