前回のブログには、かつてのバルカン半島の国について不正確な記述があった。それは、アルバニアがユーゴスラビアの南に位置していたことの漏れである。アルバニアは宗教的にも(イスラム色が強い)政治経済的にも特異で、地理で鎖国政策的な国だと習ったような。
それはともかく、バルカン半島は複雑怪奇だと思う。それは歴史的に列強がバルカン半島に関与し、支配力を及ぼしたためだろう。ギリシャ、ローマ、ビザンチン、トルコ、ロシア・ソ連、ドイツなどが有史以来、影響を及ぼし、支配しようとした地域がバルカン半島である。つまり半島は、列強ほどの力は持たない(持てない)ながら、近隣国としてちょっかいを出したくなる程度に魅力的だったのだろう。
バルカン半島の各国の歴史を調べる気力もないので、少し聞きかじったブルガリアの例を示しておきたい。
旅行してわかったのは、ブルガリアには広大な平原が広がっていることである。気候も比較的温暖であり、雨も降るため、農業に適している。このため、ブルガリアでは先住民であるトラキア人の文明が栄えたらしい。その後、スラブ人が入り、さらにはアジア系の遊牧民が入り、それらが混血したという。
今のブルガリアを構成するのは南スラブ人と称され、言語的にも隣国の北マケドニアと大きな差がないのに、ユーゴスラビア(南スラブ人の土地の意味)を構成しなかったのは、この民族的な独自性からなのだろう。1944年、第二次世界大戦の末期に、どこかの国と同様、ソ連の侵攻を受け、王国でなくなり、ソ連圏に入ったが、ソ連の崩壊とともに西側に移った。
言語的な差で気づいたことがある。3国の移動には北マケドニアからの車が使われた。運転手は北マケドニア人だった。その彼が、ブルガリア人の現地観光ガイドと何の自由もなく話をしていた。なおブルガリア人の現地観光ガイドは、ロシア語、日本語、英語もできた。75歳の老人だったので(アンタと大差ないやん)、言語的問題はなくても、階段の上り下りが不自由だった。
調べると、マケドニア語(こればかりは北マケドニア語とは言わないらしい)とブルガリア語には方言程度の差しかないそうだ。文字はキリル文字、ロシア語と同じ系統(微妙に違うらしいが不明)のものが使われる。韓国語と日本語の記述文字ほどの差がないので、僕でも多少は読める。
宗教はキリスト教系の東方正教である。その一方でトルコの影響もあり、イスラム教の立派なモスクもある。さらには第二次世界大戦においてユダヤ人を保護したこともあり、大きなユダヤ教の教会もある。
最後に経済的な状況について、1人あたりGDP(国内総生産)を調べた。2020年現在、次の通りである。
ブルガリア 10,006ドル
北マケドニア 5,939ドル
アルバニア 5,152ドル
日本は39,312ドル(2021年)である。日本と大差があるのかといえば、ブルガリアとは数字ほどではなかった。
2023/08/28