今日の日経朝刊には、もう1つ、女性を中心に社外取締役の兼任割合が高まり、2社以上の兼任が4割拡大したとある。日本企業の形式主義の象徴である。
7/1現在、社外取締役が2社以上兼任している割合は17.5%と、前年より5%ポイント上昇したと書いてある。そのうち女性は30%が兼任しているそうだ。3社以上も、女性が10.1%と、男性の3.5%を圧倒している。さらに4社以上のつわ者というかコードの実質造反者もいるそうだ。
まじめに上場会社の社外取締役を務めようとすれば、せいぜい2社だろう。株主総会の重要議案である取締役候補について、僕は個人株主として議決権を行使している。今は「そんな簡単に候補者が見つかるわけもなし」と思い、確か3社までは許しているが、4社の場合は「否」にしている。もうじき3社も「否」にするつもりである。その「否」の中に知り合いもいる。
コーポレートガバナンス・コードでは客観性の高い経営を図るため、社外取締役の割合を取締役総数の1/3以上にと書き込んだ(プライム市場の場合)。さらには企業経営の多様性と質の向上を目指す目的から、取締役の多様性を求め、その1つとして女性の必要性が書き込まれている。
しかしコーポレートガバナンス・コードに書かれたからといって、コードは法律ではない。コードに従わない正当な理由があれば、それを堂々と主張し、従わないのが正しい。逆に、何社も兼任している者を自社の取締役として迎えるのは、コードの目的を理解せず、役立たない者を選任した証拠である。また、そんな企業の要請を受け、3社も4社も兼務する者は、求められる社外取締役像に反している。それともゼニ儲けだと割り切っているのかもしれない。
経営者として形を作りたい気持ちはわかる。しかし形作りに大きな力を入れていくと、企業としての活力を損なうのは必定だ。そういう形式主義で飾ってきたから、日本企業は世界に後れてしまったのだろう。
形式から入れば、いずれ実質が伴ってくるとの主張もあるのだろうが、一連のコードの導入以来、9年が経過した。それでも形式主義の踏襲が続いている。「いずれ実質が伴ってくる」というのは幻想かもしれない。もちろん、一部の企業は実質も伴うようになったのだろうが。
2023/09/19