スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードは「投資家と企業の建設的な対話」(エンゲージメントと称される)を求めている。双方が意見交換することで、企業価値を高め、投資家のため、社会のために尽くそうとの発想である。
この対話に関して従来の日本的な発想では、それは投資家から企業にアプローチするものだとする。9/10にコメントしたJPX山道氏のインタビューでの発言が典型だろう。
しかし優良な企業はこの発想の外にある。IR(Investor Relations)、つまり企業から投資家への宣伝という発想を少し展開してみれば明らかなように、対話に関して企業から投資家にアプローチして何の悪いこともない。もちろんインサイダー情報を発信しないように注意した上でのことだが。
むしろ投資家の自社の株式に対する評価や経営に関する考え方を知ろうとするのなら、積極的にアプローチする価値がある。この点を、前回のブログで登場してもらった大手優良企業の元幹部に確認した。
その企業も、やはり投資家に積極アプローチしている。投資家に積極アプローチする企業が優れた企業とは限らない(十分条件ではない)ものの、優れた企業であるためには投資家に積極アプローチすることが求められる(必要条件である、もしくはそれに近い)。
投資家にアプローチするには、誰が投資家か知らないといけない。最近では信託銀行が投資家の代理人となって表面的な株主として登場することが多い。この場合、本当の株主は誰なのか調べないといけない。
本来の株主ついて、最近ではデータベース化し、安く提供するサービスが出てきたとか。次の各国の開示制度に基づき、調べたものがベースになっていると考えられる。
アメリカの場合、一定規模以上(1億ドル以上)の機関投資家は保有している株式の明細をSEC(Securities and Exchange Commission)に提出する必要がある。イギリスやフランスでも本当の株主を概略把握できるとのこと。詳しくは経済産業省の資料にある。
2023/09/22