植彌さんの講演の後、無鄰菴の話になり、その入場料を知りたくなった。京都市の所有する無鄰菴の担当庭師が植彌でもあったから。すると、「900円」との答えが返ってきた。
「安い、安すぎる」と思った。しかも、サイトの情報によると、今年4月1日から繁忙日料金の適用が開始になったとのこと。昨日は繁忙日だったから900円と少し高く、通常(非繁忙日)は600円らしい。
この答えに対し、最近ヨーロッパの出張から帰ってきた知人が、「ロンドの地下鉄と同じくらい」との感想を述べた。調べると、最も近いゾーンへ行く通常運賃は6.7ポンド(1212円)、オイスターカードという割引カードを使うと2.8ポンド(506円)になるという。割引カードを使うにしても無鄰菴の非繁忙日料金相当である。
加えて庭園が芸術であるとすれば、1000円もしない入場料というのは、その芸術を日々作っている庭師に失礼である。そう感想を述べたところ、植彌さんからのコメントはなかった。京都市から委託されている庭師として当然だろうか。
前から京都市の観光の安売りを批判している者としては、無鄰菴の料金をもっと上げるべきだと叫んでおこう。1万円はさすがに高いとしても、2000円でも当然だと思う。海外旅行者からは20ドルかな。京都市として、その入園料を庭園のある岡崎周辺の整備に使えばいい。
このような発想の欠如が日本の行政の欠点である。「安く」ではなく「良質の」という発想が求められている。
こう書いて、ふと無鄰菴のサイトの「無料」の文字に目が止まった。「市内在住の70歳以上の方」とある。わが家はまだ無鄰菴に行ったことがない。「無料のうちに行くべきか、行かざるべきか、迷うてしまうやん」。
2023/09/28