今日、「京都アカデミアウィーク2023」の一環として「お金は人生と社会への投票」と題して講演をした。帰るとき、エレベーターの中で、どうすればアメリカ株に投資できるのかと質問された。なかなか適切な質問である。
実は、今回の僕の講演は日本証券業協会がバックアップしている。だから特定の証券会社に肩入れできない。このため、あえてアメリカ株への投資方法に言及しなかった。エレベーターで質問された瞬間、「ぬかったか」と思ったが、その直後に「そうやった、僕としたことが後援者に忖度して言えなかったのや」と思い直した。
アメリカ株の場合、ネット証券を使うのが一番である。日本の証券会社を使うのと手数料が圧倒的に違う。
しかも、アメリカ株の場合、1株から投資できる。アップル、グーグル(投資の場合の企業名はアルファベット)、アマゾンは1株が100ドル台だから、日本円で2万円前後である。10株や100株に比べて手数料率(投資金額に対する手数料の割合)が高くなるだろうが、それでも気安く投資できると思う。
日本株の場合、売買は100株単位だから、普通は50万円が必要になる。アメリカ株の2万円に比べて25倍になるため、株式投資は個人にとって縁遠いし、金持ちの道楽、銭ゲバのゲームと映る。損すると、高級懐石料理が夢と消える。素晴らしい企業の株式に長期投資するつもりなら、高級懐石料理がやがて戻ってくるものの、瞬間は「大損した、夢がついえたと」しか思えない。
「貯蓄から投資へ」を叫ぶのなら、投資金額をもっと身近にすべきである。そういう庶民感覚が欠如しているから、「貯蓄から投資へ」を何十年もの昔から掲げているのに、いまだに実現しないのだろう。
以上を岸田政権にはちゃんと認識してもらいたい。証券業界と関係者には猛省してもらいたい。
2023/10/24