川北英隆のブログ

株式への配当の現状

現在、日本株に投資したとして、配当利回りは2%少しある。最近、預金金利が少し上がったらしいが、依然としてゼロにかぎりなく近い。その状況と比較すると、株式投資に魅力がありそうに見えるが、どこまで本当なのか。
僕はあまり配当を歓迎しなかった。というのも税金が源泉徴収されるから、税金の前払いになる。それよりは無配であっても株価が上がればいい。現金が必要になれば、上がった株式を売ればすむ。税金は、その株式売却時に後払い的に支払うだけである。
とはいえ、株価が10%や20%下がることはいつでも生じる。その時の損失感を和らげるのに配当が役に立つ。
とくに人間としての年齢を積み重ねてくると(「老人になると」と素直に書けや)、株価の下落は痛い。つまり、いくら株価上昇期待の大きい優良な企業であっても、生きているうちに株価が回復しない可能性が高まってくる。このため、ちょびちょびでもいいから、配当もありがたいと感じるようになった。
それでは、その配当へのスタンスに関して、日本企業は正しく行動しているのか。結論は、「多くの企業は間違っている」。
間違い例の典型が配当性向である。配当性向とは、利益(当期純利益)のうち何%を配当するのか、その比率のことを指す。図で示しておくと、この配当性向が日本企業の場合、30%前後に集中している。実はアメリカでも「配当する企業」は30%前後が多い。
「でもね」なのだが、アメリカの代表的な株価指数であるS&P構成企業において、無配の企業が23%もある。利益がないのではとの疑問が一瞬走るかもしれないが、アマゾン、アルファベット(グーグルの持株会社)、テスラなどの高利益率の企業も無配である。
アップルは配当をしているが、その配当性向は15%程度に過ぎない。逆に高い配当性向の企業もアメリカの場合、日本との比較では多い。
つまりアメリカ企業は経営者が自分で考え、配当を決めている。日本はといえば、「30%を隣の企業が配当しているから、我々も30%でええやんか」と決めている。配当って、「右へ倣え」で決められるものではないのにと思う。
利益率の高い成長に資本をどれだけ投入するのか、もしくは投入可能なのか。その資本のうち、株主の持ち分である内部留保をどれだけ投入するのか。経営者としての専門的な能力が問われている。それを「右へ倣え」で決めれば終わりと考えるのは、経営者としての責任放棄か、もしかしたら経営能力がないのかのどちらかである。
20231109配当性向の分布.png

2023/11/09


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