川北英隆のブログ

配当と不適切な株式売買単位

2回前、僕として「あまり配当を歓迎しなかった」と書き、「年齢を積み重ねてくると・・配当もありがたいと感じるようになった」と付け加えた。つまり、年金生活に入ると株式からの配当も重要な生活資金でもある。これに関して、今まで気づかなかったことがある。
配当は若者にとって税金の前払いであり、その前払いの分だけ無駄である。それよりも、ちゃんとした無配企業があり、その企業が利益のすべてを内部留保し、それを成長のための投資に使って株価を上げてくれることが望ましい。
個人投資家としては、生活資金などが必要になった都度、値上がりしたその無配企業の株式を売って資金調達することが望ましい。そのときに後払い的に税金を払うことになる。前払いで税金を払うよりも、その税金分が何年も株式に投資される分だけ、投資家として特である。税務署というか国は損なのだが。
といいつつ、よく考えると、「必要の都度、株式を売る」ことに障害があった。それは日本の制度では100株単位でしか売れないことである。これでは必要以上の資金の調達になりかねない。それに「下手して売る、つまり安値で売る」可能性も生じる。
株式を買う時と同様、売るときも1株単位が望ましい。100株単位でしか売れない今の「単元株制度」という、個人投資家にとって意味不明の制度を早急に廃止しないと、岸田総理の「資産運用立国」の夢はいつまでも正夢にはならないだろう。
そもそも個人投資家として株式を買って成長を楽しみ、値上がりした株式を売って生活資金にしてこなかったのが、今の多くの株式市場関係者である。そんな関係者に「資産運用立国」の議論をまことしやかにしてほしくないものだ。
株式を売り、それを「生活資金にしてこなかった」のは、今までの僕でもある。このため、冒頭に書いたように、今まで気づかなかった。この「悟り」もあり、長期投資家として買いも売りもしてこなかった者に、本当の個人投資家にとって何が望ましいのか、どこまで理解できているのか怪しいと考えてしまう。

2023/11/12


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