東京に出たついでに再び日光の前衛峰を目指した。今回は鹿沼市と日光市の境にある笹目倉山と鶏鳴山である。日光に近いから、「ひょっとしてクマさんが」と思って出かけた。
東武日光線の下小代(しもごしろ)で降りる。西口から少し南に下り、県道の分岐を西に折れる。小さな峠を越えると黒川に沿うようになる。家が点在し、谷を囲む山が高く、上州の山村を思い出せた。黒川の先に三角錐の山が見える。最初に目指す笹目倉山である。
谷が狭くなり、清流園という山小屋風の建物を過ぎると、不明瞭ながら笹目倉山の登山口に出る。適当に尾根を目指すと踏み跡が明瞭になり、合目石もある。ただし杉の中の急登である。登山口から標高差500mを一気に上がる。
斜面が緩むと東西に少し長い笹目倉山の山頂に出る。杉林の中に立派だったと思える神社と三角点(800.1m、点名は三顔山=みがおやま)がある。
神社の手前から北へと下る。すぐに鶏鳴山へと続く尾根に出る。一旦610mの等高線まで下り、そこから登り直す。と、遠くでガサっと音がした。黒くて丸い塊が登山道付近から山の茂みへと走っていた。ツキノワグマである。大きさは秋田犬程度、ただし丸々していた。唖然としていたため、「カメラや」と思った時には、クマはほぼ逃げ去っていた。
本州でクマを見るのは3回目だった。1回は北アルプスの前衛峰で、後の2回は今回を含めて日光の前衛峰である。これ以外にクマの逃げる音を聞いた。北アルプスからの下山中である。ヒグマは見ていないが、猟師の案内で暑寒別に登った時に茂みの中に潜んでいた。
クマの先、815mの独立標高ピークの南東斜面は伐採後の植林が行われていた。ピークから北西に尾根を少し下り、登り返す。やがて広葉樹林の尾根に変わる。点在する岩の上に大量の落ち葉が積もっているため、歩きにくい。
急斜面を北に向かって下り、登り直すと鶏鳴山の山頂だった。三角点(961.6m、点名は御位=みくらい?)がある。木の間から雪で真っ白な日光白根山と、その右に近くて大きな、まだ白いものの目立たない男体山と女峰山があった。
北へ稜線を少し歩いた後、東へと尾根道を下山する。下山地点の標高は三角点のあるピークより少し高い。一度林道を横断する。そのまま林道を下れそうだったが、今回は尾根道を下った。再度林道合流した後は車道歩きになる。ゴルフ場の横を通り、舗装道路になる。西へとほぼ直進し、東武日光線の明神駅に出た。夕方に用事があったため、新鹿沼で特急に乗り換えて東京に戻った。
下小代駅を出たのが8時45分、明神駅に戻ったのが15時20分だった。
上の写真は下山時に振り返った笹目倉山(左)、815mの独立標高ピーク(中央)、鶏鳴山(右)である。手前に収穫を終えたそば畑が広がっている。下は鶏鳴山から見た日光白根(左奥の雪を冠ったピーク)と男体山である。
2023/11/24