川北英隆のブログ

井の中の蛙は埋められる

終身雇用を信じて疑わない者は井の中の蛙だと、12/22に書いた。日本の賃金は上がっていない。3%や5%の賃上げで鬼の首を取ったかのように騒いでみても、実は「アリンコの首」程度だろう。年収1000万円で高給取りだと思うのは時代錯誤、30年以上も前のことだ。
今の日本が経験しているのは、実は貧しい時代である。貧しいから世界中の観光客がやって来て、安い食べ物に喜ぶ。マクドに列ができる。天丼チェーン店に人だかりが続く。
もう20年以上前になったが(1998年だから四半世紀前)、友人のOとIとで場当たりにホテルを探し、山歩き旅行をした時、「スイスに行きたいけど、高いねえ」と諦めた記憶がある。その帰り、スイスを通過し、早い夕食代わりに飲んだワインが美味かった。当時は金持ちだった友人Oが「今まで飲んだ中で最高や」と感想を述べていた。スイスは、当時は豊かだった日本人からしても高い国だったが、高いだけの値打ちがあるのだろう。
ネットのニュースを見ていると、ロイターに「インド産ウイスキーが台頭」とあった。インドではビールをあまり見かけない(まだ1度しか行ったことがない)。早くに亡くなった友人Fは何回もインドに行き、やはり「ビールがない、あっても高い」と漏らしていた。
インドはウイスキー文化の国らしい。しかもインド産のウイスキー、インドリ、アムルット、ランプールなどが台頭していて、シングルモルトも生産されるとか。それで値段はというと、(アマゾンで調べると)5000円程度はするし、もっと高いのもある。「インド、発展途上国、安い」とは思い込みのようだ。
誰しもストレスの多い中で暮らしたくない。だから壁を築き、城を作り、その中で王様然としていたい。政治家も同じらしい。権力という城の中に閉じ籠もる。意に沿わない者がいると排除したくなる。
世界と比較し、日本の政治家はもっと小さな城を築き、仲間と蒸れる違う、群れる。派閥であり、パー券である。1度だけ、どこで買わされたのかは聞いていないが、知人のDからパー券があるから一緒に行かないと言われ、見に行ったことがある。乾き物と缶ビール程度はあったか(パーティーとは名ばかりの疑似献金、大儲けやん)、「出席した」印だけを残し、場所を変えた。そんなことを繰り返していたのでは、政治が、政治に群がる者が現実離れしていくのは当然だろう。
気付けば井戸の周りで大工事が始まったりして。ブルドーザーが繰り出され、あっという間に井戸が埋められてしまう。アリンコの城が崩落する。
外の世界の動きは速く、かつ大規模である。[終身雇用の大企業に入ったらからこれで一生安泰」なんて思っていたら大間違い。その企業ともども葬り去られる。
ということで、来年も、というか来年こそ、もっといろんな旅をしたいと思っている。書いた物を読んでいるだけでは世界の動きに取り残される。今の僕の雑用に戻ると、株式市場に取り残される。

2023/12/31


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