川北英隆のブログ

危なっかしい日本株

日本株が急騰している。とくに先週から、つまり正月明けから上げ、瞬間36000円台に乗った。1989年末の39000円台の史上最高値を目指す勢いである。では、急騰の材料は何か。それが問題だ。
冴えない保有株を売るチャンスかなと思い、ネット証券のサイトに入ったところ、トップページに「カスタマーサービスセンターの電話やチャットが繋がりにくくなっている」との表示があった。
ネット証券だから個人の投資家が相手である。個人が普段にない勢いでサイトに入ろうとしているか、サイト内の操作を相談しているのか。いずれにしてもネット証券にとって想定外の異常な事態である。
原因はNISA(少額投資非課税制度)の新制度が始まり、非課税枠が拡大したからだろう。その枠を使おうと投資家が押し寄せている。まだ統計が公表されていないので推測の粋だが、個人が大挙して株式を買っているのだろう。
バーゲンセールやあるまいし、株式が売り切れるわけやないし。いざとなれば日銀が大量に持っている株式を放出するという奥の手もある。それにポイント的な発想で非課税枠を使わないと損だと考えるのなら、本末転倒である。
店に並んでいる品物が必要だから買い物をし、おまけとしてポイントを貰うのである。本当はポイントなんて邪魔くさいものではなく、「その場で値引きしてくれや、まけろや」と思うのだが。
株式も同じである。非課税枠があるから買うのではなく、素晴らしい企業を見つけ、その企業の株式が「今なら安い」と思うから買うのである。税金が少々安くなったところで、株式を高く買って安く売ったのでは大損である。そもそも損には税金がかからない。
1989年のバブルを思い出した。当時は電車の中を注目していた。スマホのない時代だから、新聞を広げる姿が多かった。友人が語ったのは、「最近、株価面を読む人数が多くなった、ひょっとして」と。それがバブルである。
日経新聞も煽っている。ここで買った株式が急落したらどうなるのか。「やっぱり株は怖い」となり、政府の「貯蓄から投資」は掛け声倒れになる。日銀が本当に金融のことを理解しているのなら、株式放出を始めてもいいのではないか。

2024/01/16


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