宿泊地だったロス・アンティグオスから、翌日、アルゼンチンの国道40号線(ルート40)を南下した。この国道はボリビア国境からパタゴニアの南端、フエゴ島(Isla Grande de Tierra del Fuego)手前まで全長3800キロもあるらしい。今回はその一部をバスで走った。
40号線を南下して、最初の目標はラス・マノスの洞窟(Cueva de las Manos)である。Manosはスペイン語で「手」であるから、「手の洞窟」を意味する。1999年に世界遺産になったとか。
この洞窟へは、40号線の途中から分岐し、パンパの中の砂利道を走る。草原(草が密生しているわけでない)にはグアナコ(ラクダの仲間、リャマより小さい)、キツネ、アルマジロ、レア(ダチョウの仲間)を見かけた。
分岐から40キロ以上走り、最後に峡谷(Cañadón del río Pinturas)の途中まで下る。そこで道は行き止まり、ラス・マノスの管理棟にぶつかる。管理等からはガイド付き(英語、スペイン語)のツアーが1時間ごとに出ている。
ラス・マノスの岩絵には文字どおり手形が多い。それに混じり、少しだがグアナコを中心とした動物と、その狩りの様子が描かれている。
洞窟の下には川が流れ、峡谷を形成している。青々とした、グランドキャニオンの小型版のような風景である。訪れたのは夏かつ乾季だったが、上から見ても水が輝いていた。
肝心の洞窟の手形は見飽きる上に、あまり気持ちいいものではない。洞窟は生活の場になっていて、大人が狩りにでかけた間、留守番の子供や老人が描いた(手形は空洞になった骨を用いて岩絵の具を吹き付けた)との説明だった。もちろん、普段は狩りに出かけている成人男性の手形もあるのだろうが。
ラス・マノスを見学の後、往路を40号線まで戻り、そこからさらに南下して、かつて羊毛などの産業で栄えたゴベルナドル・グレゴレスという町に着き、そこで泊まった。当日はバスで500キロくらい走り、ホテルに着いたのは19時を過ぎていた。とはいえ、緯度が高い(南極に近寄っている)ので日は暮れていなかった。
写真、上の2つはラス・マノスの岩絵である。もっと手形の多い壁面もある(その手のものが多い)ものの、趣味でないから動物中心のものを選んだ。下は洞窟の北側に展開する峡谷であり、鮮やかな緑が目を楽しませてくれた。
2024/03/02