パタゴニアに出掛けた最大の目的は名峰フィッツ・ロイ(3405m)の展望である。「もしも展望が得られなければ、もう一度パタゴニアの旅行を計画しなければならない」というオタク的な覚悟さえ頭の片隅を過ぎったような。
ゴベルナドル・グレゴレスから40号線をたどり、ビエドマ湖(Lago Viedma)の東端から折れ、チャルテン(El Chalten)への道に入る。チャルテンはビエドマ湖の西側にあり、フィッツ・ロイの麓の町でもある。
そのフィッツ・ロイは、バスが40号線から折れた瞬間から見えた。その後、チャルテンに向かうまでの間、バスの正面近くにずっと位置していた。展望所に停まるとフィッツ・ロイの山群と、その奥からビエドマ湖に流れ落ちる氷河の末端や沢も見えた。
その日はチャルテンのホテルに泊まった。翌朝は日の出前にフィッツ・ロイの朝焼けの展望を得るため、展望所に戻った(チャルテンの手前の別の展望所だが)。残念ながら東に薄い雲があったため、フィッツ・ロイは少し赤くなっただけで終わった。
朝食の後、フィッツ・ロイを湖から見るため、チャルテンからトレイルを散策した。氷河が残した湖はいくつもあるのだが、そのうちの1つ、カプリ湖からのフィッツ・ロイ展望が一般的なコースになっている。そのカプリ湖で昼食用のサンドイッチをかじりながらフィッツ・ロイを眺めた。
このトレイルは一般的なために人が多く、さらに湖に裸で入る男性もいたのがガッカリだった。名峰は3000m少しの背丈しかないので、里に近く、観光地化したと言える。僕もその観光客の1人でもある。
とはいえ、それに目を瞑れば、フィッツ・ロイと、その北側の青い氷河は想像以上のものがあった。「これで今回の旅行は成功だ」とも思った。
トレイルの散策から戻り、次の目的地であるカラファテ(El Calafate)の町に向かった。フィッツ・ロイの南側の氷河が大きな湖を作っている。その氷河と湖の見物のためである。
写真はフィッツ・ロイである。最初の2枚は少しだけ朝焼けしている。3枚目はカプリ湖畔からのもので、湖面にもフィッツ・ロイの姿がある。ただし、風があったので(パタゴニアだから仕方ない)はっきりとは映っていない。4枚目は南極ブナの林の向こうのフィッツ・ロイと氷河(右側)である。
2024/03/03