今回のパタゴニア、フィッツ・ロイをはじめとする山岳風景と同時に、マゼラン海峡も是非体験したかった。それも荒れたマゼラン海峡である。荒れなければ普通の海、意味がない。
国境の町、セロ・カスティージョ(Cerro Castillo)のホテルを出発し、国道9号線(Austral道)を使っていよいよマゼラン海峡へと向かう。パタゴニアというか南米大陸の南端直前である。
目指したのはプンタ・アレナス(Punta Arenas)である。マゼラン海峡の真ん中付近、チリ側の港町である。当日の走行距離は300キロ程度、パイネがいかにマゼラン海峡に近いのかがわかる。
バスは60キロくらい走ってプエルト・ナタレス(Puerto Natales)の郊外に出る。この町は港町で、太平洋と繋がっている(大西洋とは繋がっていない)。
その後、アルゼンチンとの国境のすぐ南側(一番接近した地点で国境までの距離は2キロ程度)を通り、南に折れてプンタ・アレナスに入った。町からは、30キロほど東にあるフエゴ(Fuego)島が見える。フエゴ島こそ南米のほぼ南端に位置する。
マゼランはこのプンタ・アレナス付近にも上陸したらしい。偏西風の影響が比較的少なかったのだろう。町の中心には1920年に建てられたというマゼラン像がある。海峡発見400年を記念してのものだとか。
マゼランの航海の目的がなんであれ、大西洋と太平洋とを結ぶフィヨルド地形の海峡を見つけ出したのは、地理的に偉大な発見だと思う。海峡の距離は600キロ程度ある。出られるのかどうか不安が常にあっただろう。
とはいえ、航海してきた大西洋が常に荒れ始めた後、最初に見つけた大きな陸の裂け目がマゼラン海峡だったのも確かである。これがマゼランの持っていた大幸運だったような。
写真、上はプンタ・アレナスの公園に立つマゼランの像、下はプンタ・アレナスの港と遠くのフエゴ島、下は展望台の下にあった先住民の壁画である。先住民の言葉を話せる最後の一人だったとか。
2024/03/09