ウシュアイアに宿泊し、翌日は町の西側、チリとの国境付近に広がるフエゴ国立公園に出かけた。森林や湖の中を少し歩き、その後で地球最南端の列車、フエゴ鉄道に乗るのが目的である。
朝起きるとウシュアイアの背後の山が真っ白だった。夜中に降った雨が、山では雪になったようだ。以前、夏のラサでも同じ経験をした。地球の極地に近い印である。
フエゴ国立公園は南極ブナ(ブナに近いながら、現在は別の科とされている)の林が美しい。その林の間に、氷河によって削られた湖と、低いながら(多くの山の標高は1000m台)真っ白な山とが広がっている。沢も多い。
そこに放たれたのがビーバーである。毛皮が目的だったとか。オオカミなどの天敵がいないのでビーバーが繁殖してしまい、今は南極ブナを倒して問題になっている。複数の「ビーバーが問題」との趣旨の看板が立てられていた。
パンアメリカン・ハイウェイの終点(アラスカから17848キロ)、地球最南端の郵便局(スタンプを押してもらうために行列ができていた)などを見た後、フエゴ鉄道に乗った。
そもそもウシュアイアは流刑地だったそうで、囚人を働かせ、燃料や建築材料にするために南極ブナを伐採していたそうだ。その輸送用として鉄道が敷かれ、今はその一部を観光用に残しているとか。その名残りで、囚人に扮した者が何人も列車に乗り込み、記念撮影させている(もちろん有料)。
蒸気機関車だったものを、今はその外観だけを残してディーゼル機関車に変えているのだが、馬力がないのか寿命なのか、我々の乗った列車は坂道を上がり切れず、応援の機関車を呼んで後ろから押してもらっていた。
途中、小さな滝を観るために停車する。その後はかつての南極ブナの伐採地を通る。伐採によって草地になった中を、馬がのんびりと遊んでいた。
鉄道に乗った後は町に戻り昼食をとった。アルゼンチン風の大きなビーフステーキが登場した。日本のギトギトしたステーキと異なり、美味かった。満腹した後は、いよいよ仕上げのイベント、ビーグル海峡のクルーズとなる。
写真、最初は地球最南端の郵便局とポスト、2つ目はそこから見た対岸の山である。山はチリに属し、手前にビーグル海峡が広がっている。3つ目はフエゴ鉄道の列車、4つ目は車窓の風景である。
2024/03/09