投資関係の仕事に就いた元学生と飲み会で話していると、新しいNISA(少額投資非課税制度)が始まり、株価の動きにアノマリーが見られるようになったのではとのこと。アノマリーとは、この場合、「理論的に説明の難しい値動きの癖」、つまり異常な値動きである。
彼、S君の論理を書いておく。飲み会だったので、正確に理解したかどうかは不確かながら。
つみたてNISA(何故か、「つみたて」はひらがな書きらしい)の場合、クレジットカードを使うとポイントが貯まる、これを理由にクレジットカードでのNISAが増えている(その場にもこの利用者がいた)、その場合の買いのタイミングは毎月1日に設定される場合が多い(調べると確かにそうだった)、とすれば毎月1日の買いが増えるから株価が一時的に上がりやすくなる、ただしその値上がりは一時的なものだから売り向かうプロの投資家が出現しうるし、実際に出現しているようだ。
そこで帰ってからデータを調べてみた。値動きに関して起こる異常な状態は2つ考えられる。
1つは、毎月1日に買いが集中するのなら、その日の値上がり率が高いかもしれない。
もう1つは、買いに対して売り向かう投資家がいるのなら、その日の値動きが大きくなるかも知れない。
なお、調べていないが、売買金額が大きくなるという現象も生じうる。
データを分析した結果は次のとおりである。まだ新NISAが始まった今年1月から3ヶ月しか経っていないため、結論を出すのは早いのだが。
各月1日の異常な価格上昇は見られない。逆に4月は下がっていた。
次に、各月1日の価格変化は大きいかもしれない。つまり3/1、4/1の値動き(東証株価指数の当日の「高値/安値」)は、今年に入ってからの日々の平均的な値動きよりも明らかに大きい。ということで、値動きに関して5月以降も観察を続ける必要がある。
クレジットカードでつみたてNISAを利用する個人に対しては、「ポイントをゲットするだけの理由でクレジットカードを利用するのは本末転倒かもね」と言っておきたい。株式を高値で買ってしまいかねず、そうだとするとポイントが吹っ飛ぶからである。
もう少し言えば、投資のプロのカモになりかねない。ネギを背負っているとまでは言わないが。要注意である。
2024/04/06