2026年度から「子ども・子育て支援金制度」が始まるらしい。この制度、医療保険制度の一部として組み込まれるとか。組み込みにともない、医療保険料の追加負担が生じる。その金額が「当初、言われていたよりも高いやん」と、多くのニュースが発信されている。
こういう公的保険制度は、「はじめチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いてもドンドン薪くべよ」である。それで制度がどんどん太っていくのは常識に近い。そうでなくても破綻の土俵際にある公的医療保険制度の、最後の一押し的な危機ではないかと思える。ついでに書くと、後期高齢者も負担の埒外ではない。
それはともかく、「子ども・子育て支援金制度」は少子化対策の切り札として岸田政権が打ち出した。いつもの「札でほっぺたを張る」方式である。ゼニさえ出せば何でも可能だとの発想は、昔の失業対策事業、公共工事などを経て、政府の伝家の宝刀というか、何やらの一つ覚えというか、今でも息づいているようだ。
しかし、国民の生活が豊かにになると、ゼニの効能が薄れてくる。今やゼニだけで動くのは、パーティー券に象徴される政治家だけではなかろうか。その身内の論理が国民にも通用するとでも思っているのだろうか。
家が狭ければ、子供1人で精一杯かもしれない。東京圏のように通勤に1時間以上かかり、それも満員電車なら、子どもの世話をする時間がとれない。しかも都会だから子供の豊かな情操を育てる環境もない。
そうだとすれば、本来的に必要なのは少額のゼニではなく、東京圏を離れることだろう。離れるには仕事がなければならない。そこで大企業が東京を離れれば、中小企業も連れて動く。地方に行けば、広い家が安く手に入る。通勤も簡単である。自然環境も非常にいい。以上が理想に近いだろう。
一方、大災害のリスクは東京圏で増している。先日、某大企業を訪れ、経営陣と話していたところ、「東京の大地震は可能性の問題ではなく、いつ起きるのかの問題だ」と先方が語っていた。
金融リテラシーと称して分散投資の必要性を説き、「1つの籠に卵を盛るな」と教える。しかし教えた本人や、教えろと指導している政府関係者が、1つの籠、すなわち東京圏に国民と企業と社会インフラをてんこ盛りしている。少し賢い子供なら「大人ってアホやん」と思うだろう。
ということで、少子化対策としての「子ども・子育て支援金制度」は焼け石に水どころか、国民の不満をますます高めるだけに等しい。政府に発想の大転換が求められている。
2024/04/10