川北英隆のブログ

経済学者なら具体的議論を

日経新聞の経済教室に「日本経済復活の条件」と題して、昨日から3回シリーズでの連載が始まった。昨日、今日と読んでみて「日本の経済学者復活の条件」もついでに連載したほうがいいのではと思ってしまう。
昨日は吉川洋氏と山口広秀氏の、重鎮2人の連名だった。人口減少が経済停滞の原因ではなく、イノベーションの欠如が原因だと述べている。そんなこと、わざわざ経済教室で言われなくても当然のことである。
イノベーションが例示してあったが、アホみたいな、重箱をほじくるような、もっといえば昔あった筆記具に時計を組み込むセット販売のような、そんな例だけである。学校教育、貴重化する労働人口の配分、労働市場の流動化、企業の新陳代謝の促進(とくに退出の促進)、政府に頼らない経営の確立などについて何も踏み込んでいない。
2人のうちのどちらが主に書いたのか。吉川洋氏ではないように思うが。
今日は福田慎一氏だった。日本を代表する大学、東大の教授である。株価がバブル期の高値を更新した背景を詳細に述べつつ、これを好機ととらえ、経済の新陳代謝とイノベーションを進めることが必要だとする。しかしというか、残念ながらというか、具体的な指摘は何もなく、一般論で終わっている。普段、何も考えていないのか。
しかも円ドルレートが90円に戻るような、通常では起こり得ない夢物語をリスクとして描いている。アメリカ経済が崖っぷちに追い込まれれば可能性を否定できないものの、あれやこれやと議論して結論を曖昧にする、いわゆる一流学者のいつもの方法だとしか思えない。
明日は誰なのか、期待しつつ待つしかないだろう。

2024/06/14


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