川北英隆のブログ

中高の数学は役に立つのか

研究会で議論していると、中高の数学の先生に、それが社会で役立つことを生徒に教えてほしいとの意見があった。研究会の後、昼食会があり、いくつか役立つ例を示しておいた。それで何の研究会かというと、金融リテラシーというか、金融教育の研究会である。
金融に関する記述が中高の教科書で増えている。これは当研究会がいろいろと提案したからだと思う。僕はあまり役に立っておらず、名前貸し程度か。
その研究会で数学との関係としていつも登場するのは複利計算である。複利有名なのは、預金金利が年間7.2%あれば、10年後に2倍になって返ってくることだ。この複利関係の計算には高校で習う対数が便利である。
この金利をもう少し正確に計算するには、指数計算、すなわち2の1/10乗を計算すればいい。もしくは対数を使う。普通は自然対数(底がeの対数)を使うのだが、常用対数(底が10の対数)でもいい。その場合、2倍の2について常用対数を計算し、それを年数の10で割り、その答えを使って底10の累乗を計算すればいい。いずれにしても結果は1.07177・・であるから、金利として必要なのは7.177%となる。スマホの計算アプリを使って簡単に計算できる。
実は対数は証券投資においてよく使う。最近使ったのが、長期間の株価推移をグラフにする場合である。(戦後、日本の株式市場が再開した直後の)1950年から日米のグラフを書こうとしたところ、普通の方法では前半の20年間とか40年間、株価の数値が小さすぎて意味がなくなる。そこで対数グラフにしたのだが、自然対数ではメモリの付け方が複雑になる。最終的に常用対数にしたところ、明瞭なグラフになった。しかも対数だから、グラフの線の傾きが株価の上昇率になる。
「ええやん」というので日米の株価推移のグラフをアップしておく。上は通常のグラフ、下は常用対数によるグラフである。わかりやすさの差は歴然だと思うが、「そんなの関係ない」との反応があるかも。
以上、数学が役に立つ事例である。
日米株価.PNG

日米株価・対数.PNG

2024/06/23


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