川北英隆のブログ

SPring-8を見学する

兵庫県相生市の北、正確には兵庫県佐用郡佐用町光都にあるSPring-8に用事があり、訪問した。SPring-8とは「Super Photon ring 8 GeV」の略である。非常に強い放射光を発生させ、物質の構造や機能を調べる装置である。
地名の「光都」とは、もちろんこのSPring-8のphoton=光子からきている。
僕がphotonにまつわる研究をしているわけではない。SPring-8訪問の目的は、庶務事項の評価を依頼されたためだった。施設そのものが目的ではなく、その施設を管理、運営している高輝度光科学研究センター(Japan Synchrotron Radiation Research Institute=JASRI)との会議が目的だった。
とはいえ、せっかく訪問するのだからと、SPring-8を見学させてもらった。SPring-8とJASRIの姿はグーグルマップで見るのが一番だろう。その映像を切り抜いたのでアップしておく。
白いリングがSPring-8である。右横の細長い施設はSACLAと名付けられていて、やはり放射光と関連する。今回、こちらは見学する時間がなかった。
それでJASRIだが、白いリングの一番上、グーグルのピンマークに埋もれかけた少し長い建物の中にある。リングの直径が460mくらい、SACLAの長さは700mある。それと比べて建物は小さい。
このSPring-8は円形に見えて、実は多角形である。強力な磁力で電子の進行方向を曲げることによって放射光を発生させ、その放射光を用いてターゲットとする物質の構造や機能を調べるとのこと。その電子を曲げる角度が小さく(計算すると7.5度)、結果として48角形になり、その48箇所で物質の解析ができるという。
JASRIとは、SPring-8を国の研究機関、大学、企業をはじめとする機関に利用させるための管理機関である。管理といっても最先端の施設であるから、専門的な知識と能力が求められる。
SPring-8は新幹線の相生駅からバスで40分程度(寄り道を除くと実質的に30分程度)の山奥に設置されている。精密性の求められる施設である。振動が大敵であり、地盤のしっかりした山奥の土地が求められる。月と太陽の位置の変化もSPring-8に影響を及ぼし、さらには日本海に打ち付ける波が影響しているとの研究もあるらしい。地震があれば大きな被害が生じかねないとか。
なおSPring-8の工事が始まったのは1991年、利用開始は97年である。工事費の総額は1100億円と聞いた。ぼちぼち老朽化が心配される年齢だとも。
20240706SPring-8.jpg

2024/07/07


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