キーロン村に泊まった翌日は、いよいよ今回の本来の目的である「ラダックの最深部、ザンスカール」へ向けての移動日である。途中、2020年に開通した車道を走り、標高5000mの峠を越える。
キーロン村を離れる前に、北側の山腹にあるシャシュル(Shashur)寺院を見学した。ジグザグの狭い道を車で登ると、キーロン村やその下のバーガ川を見下ろす高台の上に寺院があった。
キーロンに戻り、国道3号線を走ってバーガ川を遡る。レーに通じる道である。今回はこの道を使わず、30キロほど走った地点の大きな橋を渡ったすぐ後、ザンスカール方面への新道に入った。バーガ川の支流の谷を遡り、シンク・ラ(シンク峠)を越える道である。シンク峠の地図上の標高は5090m(峠の看板では5050m)、キーロンが3150mとあるから、標高差約2000mの登りである。
峠道は新道といっても、途中で整備のための工事が多く、複数箇所でテントに寝泊まりする作業員が見られた。中には女性や子供の姿がある。終戦直後の日本で見られた失業対策事業に近いらしい。
峠が近づくにつれ、6000m前後の雪を頂いたピークが手に取るように見えてくる。峠の手前は思ったよりも緩やかな道だった。整備もほぼ終わっていたようだ。
峠にはタルチョとインドの国旗がはためいていた。峠を通る稜線がラダックとヒマチャル プラデシュ州との境界である。南側(登ってきた側)に小さな池があり、青い水の中にまだ雪が残っていた。
峠から北側は道の整備中だった。工事箇所も多く、道も悪い。道が川沿いになってもほぼ同じ状態が続いた。ただし道沿いの人家の数は南側よりも多かった。
やがて道は川の合流点の上部に出る。峠から流れてきたクジアック川とツァラップ川が深い峡谷を作っている。そのクジアック川を渡り、ツァラップ川の南側に出て、少し車で登ると当日の宿泊地だった。
草地にハイキング用のテントが張られていた。テントの中にはマットが敷かれているから、日本から持参した3シーズン用のシュラフを入れれば宿泊の準備ができる。
なぜテント泊なのか。翌日、今回のツアーのハイライトであるプクタル寺院を徒歩で見学するためだった。テント場は標高3800m地点、水場は当然あり、トイレも曲りなりにある。
写真は上から順に、シャシュルから見たキーロン村方面、ザンスカール新道の分岐付近の橋、シンクラ峠の池、シンクラ峠、テント場の夕方である。
2024/08/04