パドゥムを拠点にザンスカールの主要な寺院を巡った後は、今回の旅行の最終目的地、レーを目指すことになる。レーには飛行場があり、ラダックの玄関である。今回参加したツアーのイメージは、陸路という勝手口からラダックに入り、玄関から退出するものだろう。
ラダックの最奥部、ザンスカールからレーに向かうのは簡単ではない。現時点では2つ方法があるらしい。1つは、西へパキスタンとの国境付近まで大回りした後、東にレーへと向かう方法。もう1つは5000m近い峠を越え、直線距離にして70キロほどレーの西にあるラマユル付近に出る方法。
今回は峠越えでレーに抜けた。ザンスカール川の流れを下流へと向かい(北に進み)、2日前に訪れたザンラ村(宮殿跡のある村)を通った。その村の北に尼寺(チュモ寺院)があるので見学した。子どもの尼僧が留守番だった。大人はサニ寺院の祭りに参加しているらしい。
村の先にチェックポイントがある。ザンスカールの関所である。これを抜けるとザンスカール川の両側が切り立つようになり、峡谷である。
レー方面への山越え道(旧道?)を分けてすぐに橋を渡り、ゲストハウスで休息する。そこでバラ茶(野菜のバラの花弁を浮かしたもの)を飲む。そのすぐ先でザンスカール川を再度渡り、山越え道に入った。川沿いの道は工事中の様子だった(レーで買った地図にはザンスカール川に沿って道が記されているが、グーグルマップでは途切れている)。
川を渡るとジグザグの上り道になる。予想していたほどの悪路ではない。標高差700mを一気に上り、チョチョゴリ・ラという標高3950mの峠を越す。峠から先、道は高原状の中を、時にはジグザグを混じえて上がり、最後にシンギ・ラ、標高4950mを越える。周囲は5000mから6000mの山々である。
峠からは一度谷間の村に下る。ヤクの放牧も見られた。再度上がり、シシ・ラ(4815mの峠)を越える。振り返るとシンギ・ラも見えた。峠からはインダス川上流部の流れに向かって大きく下る。途中に非常に脆い(板状、針状に裂けた)岩の峡谷があり、ヒマラヤ造山活動のすさまじさがわかる。
ほぼ下り切るとワンラ村だった。ポプラが茂り、独特の風景を作っていた。その村にあるワンラ寺院を見学しようとしたのだが、管理者が不在の為、中に入りなかった。村の展望が得られたのが収穫だった。
ワンラから下ると立派な道路と合流する。レーからラマユルを越え、カルギル、スルナガル方面に向かう幹線道路である。カルギ以西からスルナガル方面はイスラム教の世界になる。その先はパキスタンである。外務省の危険情報ではレベル3もしくは4の地域が出てくる。
その幹線道路を西へと上がると、すぐにラマユルだった。スピティやザンスカール地域と比べ、「都会」を感じた。
写真は上から順に、チョチョゴリ・ラからのザンスカール川(峡谷の向こう側に小さく村が見える)、シンギ・ラ、シシ・ラ、シシ・ラからのシンギ・ラ方面、ワンラ寺院からのワンラ村である。
2024/08/11