川北英隆のブログ

投資信託が好ましくない理由

『個別株の教科書』において、海外株式の投資信託の保有はあるが、日本の投資信託を買った経験がないと書いてしまった。12/14、日経新聞の記事には、「インデックス型(指数連動型)投資信託はバブルを助長する」可能性があると言わんばかりの発言が引用された。
投資信託を運用している会社、つまりアセットマネジメント会社を嫌っているわけでない。むしろ某複数のアセットマネジメント会社に講義や研究をバックアップしてもらってきたのも事実である。では何故、日本の投資信託を保有しないのか。
投資信託という金融商品のパフォーマンス(投資収益と言い換えてもいい)は多くの場合、アセットマネジメン会社トの投資能力だけでは決まらない。というのも、投資信託は多くの小口資金を集め、1つのファンドにするのが一般的な形態だからである。
このため、たとえば僕が「今が株式を買い増すチャンスや」と思っても、他の投資家が「売りや」と思うかもしれない。アセットマネジメント会社が「買いや」と思っても同じことが起きる。比喩的に表現するのなら、「船頭多くして船が山に登る」ことになりかねない。とくに従来の日本の投資信託はそうだった。
その点、インデックス型の投資信託の場合、そのパフォーマンスのほぼすべてが市場全体の流れで決まる。そうだから船頭が多くてもゼロでも結果に大きく影響しないのだが、それなら一方で、「アセットマネジメント会社の能力とは何や」となる。また「そのインデックスでええのんか」と問いたくなる場合も多い。
とくに日本のインデックスは、そもそもは株式投資のために作られたものではないから、それを模倣することに大いに疑問がある。今回の日経新聞の引用には「業績不振で資本効率を改善する気がないような企業でも指数の対象なら資金が向かう」とあるのは(記者が僕の話した内容を要約した内容は)、そのことである。
それに投資信託で損をすれば「下手くそ、どうしてくれるねん」となりかねないのだが、自分で見つけ、素晴らしいと思った企業の株価が冴えなければ、ある程度納得がいく。それでも「良い企業や」との確信があるのなら長期で保有すればいいし、それが本当だったのなら、いずれその企業の株価は日の目を見るだろう。
ということで、僕は知識の乏しい国や産業を別にして、投資信託を買おうとは決して思わない。「売り」がほぼない積立型ならいいのだろうが、この歳になってこつこつ積立もないだろうし。

2024/12/15


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