今日の日経新聞のトップ記事に、ホンダと日産自動車が経営統合するとあった。瞬間に思ったのは、「水と油のような両社が本当に統合できるのか」である。片やベンチャー的に一気に大きくなった会社であり、片や役所的な色彩の濃い会社である。
一昔前なら考えられなかった組み合わせだろう。両社の関係者も「あの会社と統合」と聞くと、「エイプリルフールか悪夢か」と思うに違いない。
多分、今回の統合計画は悪夢の中から生まれたように思う。日本の自動車産業がアメリカを追い抜いたのと同様に、日本は中国に迫られている。いずれ追い抜かれる可能性が高まっている。もちろん、その背景には電気自動車(EV)がある。
EVは、電池の勝負であり、通信とソフトの勝負でもある。この両面において、中国は戦略的に技術力を高めてきた。
EVがガソリン車に取って代わるかどうかはともかく、ハイブリッド車にしても電池が必須である。電池のためには資源(リチウム)と技術が求められるのだが、日本が大きく遅れをとっているのは周知の事実である。
通信とソフトはテスラが先行した。中国も追いつこうとしている。日本の自動車会社が太刀打ちするには、開発要員が不足している。一般論だが、日本のソフトの遅れはいろんな場面で露呈している。後追いであり、インフラ(プラットフォーム)としてのソフト開発を苦手としている。要するに細々とした開発しかできていない。そしてテスラのソフトはインフラを志向している。
そんな中、トヨタが世界のトップ企業として今後も存続できるのかどうか、疑問を呈する向きが少しずつ増えている。トヨタとグローバル・トップを争ってきたフォルクスワーゲンの経営が今年に入った急速に悪くなり、本国のドイツでの工場閉鎖にまで追い込まれている。それと同じことがトヨタに起きても不思議できない気がする。
規模の小さなホンダに至っては正夢に近いだろう。日産自動車はまさにフォルクスワーゲンと同じ道を歩みつつあるうえに、規模が小さいだけに何らかの挽回策を打ち出さないといけない大ピンチである。
ということで、ホンダと日産自動車の経営統合は両社にとっての勝負手である。ホンダは主導権を握りつつ日産と統合したいと思っているのだろう。日産は背に腹を代えられない、つまり代替案がない状態に追い込まれている。
水と油のような両社が混じろうとするのは、要するに窮余の一策である。
2024/12/18