年末だから郡山に行き、ついでに買い物をした。源九郎餅中嶋で餅を買い、山根の蒲鉾屋で蒲鉾類を買った。中嶋は昔から餅の賃搗きをしている。年末には羊羹も並ぶ。しかし今回、店を見た瞬間に「あれっ」と思った。
いつも店頭に置かれているショーケースがなく、その代わりに木の台が陣取り、その上に餅を入れるための麹蓋(小さい頃、「こうじゅうた」と記憶した)が置かれている。
量り売りの餅を注文した後で、「饅頭類はないの」と聞くと、(確か)1/4からだとのことだった。去年まで、年末にも饅頭が並んでいたのだが、今年から止めたようだ。とくに羊羹は儲けがないため、年末と特別な日に作るだけと聞いていた。今年になり和菓子の材料がさらに高騰しているから、ついに羊羹は絶滅したのだろうか。
その後で寄った山根の蒲鉾も年末だけの特別製造である。蒲鉾、普段は売れないから作らないそうだ。縁起のものだから正月用にと、紅白と焼き蒲鉾に梅焼が並んでいた。買ったのは焼き蒲鉾、梅焼、ゴボウ天である。毎年買っている。どれも美味しいからだ。
ついでにというか、今回は市内のスーパーで水菜を調達しようと思っていた。
今年、水菜が高いそうだ。昨日、しょぼっとした水菜を牛肉と炊いて食べた(カミさんが炊いたのだが)。美味かったものの、量が少なすぎる。
子供の頃には白菜よりも大きな塊の水菜があり、それをたんまり食べた思い出がある。だから、今でも奈良県のスーパーなら立派な水菜を売っているだろうと思った。
しかし現実は違った。昨日食べたのよりも、もっとしょぼっとした水菜が並べられていた。しかもカミさんから聞いていた値段と大差ない。がっかりだった。
水菜を食べる文化はどこへ消えたのか。かつて東京に30年近く出稼ぎに行っていた時、当初は水菜なんて影も形もなかった。だから実家が送ってくれたものだ。それが出稼ぎの最後の方では、東京の店頭にちらほら並ぶようになった。小さな株だったと記憶しているが。
今はその小さな株、サラダ水菜とか名づけられ、それが一般的になったのか。つまり水菜が関東化してしまい、洋食紛いに使われる。おかげで和風の水菜が絶滅危惧種化しているようだ。
そうそう、「鯨と水菜の炊いたん」も子供の頃の定番だった。当時の鯨は多くはコロ(鯨肉の皮と脂身の乾燥食品)だったと記憶している。これは好きではなかった。コロが臭かったからだ。でも絶滅危惧種(?)同士の炊合せ、できればコロを普通の鯨肉にして食べてみたいと思う。
2024/12/29