昨日、日本の1人当たりGNI(国民総所得、2023年、ドルベース)が世界の中では31位だと書いた。欧米の先進国と比べた場合、下位水準である。申し訳ない書き方ながら、東欧の水準に近い。昨日アップした表で見ても、スロベニアやチェコに迫られている。
では「ミレニアムや」と騒がれた2000年と比べてみて、日本はどのように変化したのか。
同じ国連の統計で調べると、2000年の日本はドルベースで5位だった。リヒテンシュタイン、モナコ、ルクセンブルグ、スイスに次いでいる。この4国は2023年も上位に健在である。日本だけが大きく後退したことになる。
当時の日本のドルベースでの国民総所得は39678ドルだった。23年は35933ドルである。「為替レートが、00年末の114.9円から23年末の141.4年まで円安になっているからや」との言い訳が飛び出そう。しかし通貨の強弱も経済力の一部である。円安を言い訳にするのは筋違いである。
さらに言えば、昨日の表に入っていない「地域」がある。たとえばバミューダ(イギリス領)である。23年のGNIはスイスより上にあり、円換算すると1289万円である。マカオ(中国領)は1162万円、香港(中国領)は864万円である。
日本は自国を豊かだと思い、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツはともかくとして、その他の国を父親や母親の世代は「下国」だと陰で蔑視してきた。だから今の現実を見せつけられると、「そんなバカな」と、馬が喋るのを目の当たりにした(古すぎてついていけないかな)くらいに驚くだろう。
高いGDPやGNIだけが幸せを生むわけでない。そこで「幸せの国、ブータン」の23年の数値を示しておく。1人当たりGNIは56万円である。そのくらいの水準で楽しく生きないことには、「GDPやGNIだけが幸せの尺度ではない」と豪語できないと思うのだが。
2025/01/27