川北英隆のブログ

令和米騒動の顛末

ついに農水省が米騒動を認め、備蓄米を放出するらしい。1993年に米の凶作が起きた。その時に覚えているのは外米が流通したことである。タイ米を食べて「チャーハンに美味いやないか」と思った。一般受けしなかったようだが。その時以来の騒動である。
その時に「外米なんか食わせてどうするんや、農水省が推進している米の減反政策って変やろ」となって、95年に米の備蓄政策ができた。この政策、一度も発動されていないから、農水省の焼け太りの感しかなかった。ところが昨年に米価格の暴騰があり、「やっぱり備蓄制度があって良かったねえ」と一瞬思えたのだが、農水省自身は備蓄米の放出をしなかった。ますます「何のための備蓄制度なんや、やっぱり焼け太りやん」との感を強くした。
消費者物価については1/15に書いた。その後、12月の統計が発表され、12月の米類は前年同月に比べて1.3%上がっている。昨年12月との比較では64.6%の上昇である。暴騰である。
日本の政府はガソリンの上昇を抑えるためにせっせと補助金を出している。結果、日本のガソリン価格は欧州よりも安くなっているらしい。なのに、個人の生活に直結する米の価格暴騰には何も手を打たないなんて、「これからはガソリンを主食にして生きろと言うんかいな、車やないで」だ。
農水省は3龍、違う(そんなええもんやあらへん)、3流の役所と揶揄される証拠かもしれない。米が店屋から消えたのは、日経新聞によると昨年8月以降とある。しかし値上がりが顕著になり始めたのは昨年5、6月頃である。
しかも今日の記事には「(米を)柔軟に放出できるように指示を見直す」とあり、「実際に備蓄米を放出するかどうかは今後の市場動向や需給の状況をふまえて判断する」らしい。「呑気なもんやね」だ。
自民党中心の政府の支持基盤は地方の農業従事者である。ガソリンを大量に使う輸送業者も支持基盤である。これら双方にゴマをするため、米の暴騰は黙認し、ガソリンの値上がりには即座に対応する。その結果チグハグというか物価に関しては股裂きな対応になってしまった。本当は役所というよりも、そのボスである政治家がアホなのだろうか。当該役所の役人も政治家に対して何も忠告せず、保身を図っているのだが。
そうそう、別に米の価格を元に戻せというつもりはない。他の物価が上昇しているわけだし、肥料の価格も上がっているわけだし、米が上がるのは仕方ない。とはいえ、農水省の本来の役割は農業従事者の所得をいかに合理的に上げるのかにある。投機的な買いに乗じて値上がりを実現するのは本末転倒である。

2025/01/25


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