ついに日経新聞が大々的に取り上げたと感動(?)し、拍手した。何かと言えば、今日(3/16)の1面トップ「長居が増える社外取」である。
日本取引所グループ(JPX)は社外取締役を増やすよう、上場企業に要請している。金融庁とJPXが共同で策定したスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードに基づく、真綿のような要請である。
上場企業は、その真綿で首を絞められてしまったのか、社外取締役を増やし、さらにはダイバーシティへの要請から女性の社外取締役を増やしている。後者は自社内に女性の取締クラスの社員がきわめて少ないからだ。
その結果、2014年から24年までの間に、社外取締役の数(延べ人数)が3.3倍になった。ちなみに24年の社外取締役の数は 8452人だとか(人数は日経新聞の集計による)。同時に、10年以上在任する社外取締役が増え、複数社を兼任する社外取締役も普通に見られると記事にある。
10年も同じ企業の社外取締役を務めていると「同じ釜の飯を食う」間柄になりかねない。複数社を兼任していると、企業経営を十分理解し、判断する時間的余裕が奪われていく。
個人的には(個人投資家として)、「長居かどうか」によって株主総会での取締役候補案への賛否の判断はしていない。年数を数えるのが面倒だからである。
兼任については、上場企業の社外取締役を3社以上兼任している場合には「否」としている。兼務を依頼した企業に対する「否」であり、そんな何社もの社外取締役を引き受けた本人に対する「否」でもある。
同じ記事の中に、「(長居に対する?)一律反対の方針は疑問・・(アセットマネジメント会社などの)運用会社は企業と対話し・・問題があるなら声を上げればいい」との野間幹晴氏の意見が掲載されていた。この意見は理想論ではあるものの、現実的ではない。運用会社は、社外取締役の案件以外にも、さまざまな観点から企業との対話案件をかかえている。この「案件多数」の問題を解決しないことには抜本的な解決とはならない。
突き詰めれば、資産運用会社が株式投資する企業数が多すぎる。この背景にあるのは、公的年金などが資産運用会社に「株式投資を委託する企業数」が多すぎる事実である。もしくは上場企業数が多すぎることを指摘すべきかもしれない。
これ以上の説明は面倒なのでここでは書かないが、日本の株式市場でのすべてのプレーヤーに形式主義という病魔が蔓延していると思えてならない。上場企業、公的年金、アセットマネジメント会社、監督官庁、取引所などである。
そうでなければ、言霊の世界が広がっているのか。株式上場、コード、社外取締役などが現在の言霊、すなわち神様として君臨し、崇拝の対象となっている。
2025/03/16