川北英隆のブログ

口が痩せたのか

日経新聞を読んでいたら「日本人の口」に関して気になる記事があった。「回転寿司人気ネタ」のランキングである。
「回転寿司で最もよく食べるネタは」というマルハニチロの質問に対し、サーモンが20.9%で圧勝、2位がマグロ(赤身)12.8%、3位がハマチ・ブリ6.6%だそうだ。エビ、イカも5%前後で入っている。
なおマグロは、中トロ6.1%、ネギトロ3.2%、大トロ2.3%、ヅケ2.2%だから、赤身と合わせてると計26.6%になり、実のところサーモンを上回っている。
これを見て関西人である僕は仰天した。子供の頃、来客が昼の時間にかかると、近くの寿司屋から盛り合わせを取り寄せた。もちろん時たまである。子供もお相伴にあずかるのだが、当時のネタにサーモンなんてなかった。甘いタレを塗ったアナゴ、白身魚、タコ、エビなどが入っていたと記憶する。
今のサーモンというか鮭は養殖であり、輸入品が多い。生で食べるとクセがある。社会人になってルイベなるものを初めて食べたが、鮭には寄生虫(アニサキス)がいるとかで、それが気になった。今のノルウェー産は心配が少ないらしいが、確立した寿司文化の中で育った関西人として、サーモンは邪道だと今でも思っている。
回転寿司を含め、寿司屋でサーモンを進んで注文したことがない。盛り合わせに入っていれば、当然ながら食べるが、その程度である。
それはともかく、最初に紹介したマルハニチロのランキングの中に白身然とした魚が入っていないのも残念である。調べると、鮭を白身魚に分類することがあるらしいが、それを聞いた瞬間、タイやヒラメは「一緒にすんな」と口から泡を飛ばして叫ぶだろう。
鯖や鰯といった青魚も入っていない。僕として寿司のネタで美味いと思うのはイワシやコハダなどの青魚である。サバの生寿司も美味いが、いわゆる寿司の分類から外れるかも。
ということで、「寿司といえばサーモン」とは情けないと思う。食べていけないとは言わないが、もっと多様なネタを食べてほしいものだ。そうでないと魚天国の日本の名前が泣き、口が痩せる。
サーモンが一番安いからかもしれない。そうだとすれば、単純で安いネタしか食べられない程度の給与しか払っていない日本企業には、退場命令を出すしかないだろう。

2025/03/29


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