依頼原稿を書くため、国連の統計に入り、主要国の国内総生産(GDP)を調べた。1970年以降の数値をダウンロードできる。
各国の相対的な地位を見るため、世界合計GDPに占める各国GDPの率を計算した。2023年現在、主要国は次のとおりである。
アメリカ 26.2%
中国 16.8%
ドイツ 4.3%
日本 4.0%
インド 3.4%
イギリス 3.2%
フランス 2.9%
これ以降、イタリア、ブラジル、カナダ、ロシア、韓国、メキシコ、オーストラリア、スペイン、インドネシア、オランダ、トルコ、サウジアラビア、スイスと続くそうだ。以上、20位まである。なお、スイスの大きさは日本の約1/5である。
ここで気になるのが日本の地位の低下である。1995年、日本は世界の17.7%を占めていた。当時、アメリカは24.4%だったから、日本がアメリカに急接近していた。その後、日本の占率はほぼ一貫して低下を続けた。23年にドイツを下回り、世界第4位になったことは広く報道された。
ヨーロッパも90年代半ばにピークがある。イギリス、フランス、ドイツを合わせて計算してみたところ、92年がピークで18.1%あった。それが23年には10.3%になっている。日本と同様、占率の低下が続いているものの、日本よりは緩やかである。EUを形成し、各国の総合力を発揮したことが効いているのかもしれない。
ヨーロッパや日本の地位の低下は中国の台頭が大きい。中国は、90年前後に2%だったのに、2000年前後から急速に伸び、今やアメリカに肉薄してきた。もっとも21年の18.2%に達した後、2年連続して低下している。90年代の日本のようにピークアウトするのかどうかである。
一方、トランプが黄金時代の再来を目指しているアメリカはといえば、ヨーロッパや日本のような低下傾向が見られない。アメリカのピークは2つある。85年の31.9%、01年の31.4%である。11年に21.0%まで低下したものの、その後は上昇を続け、現在(26.2%)に至っている。中国台頭の影響を受けているが、致命的ではない。ハイテク分野の伸びが大きいと考えていい。つまり、アメリカ企業と経済の変わり身の速さが功を奏している。
今後はインドにも注目だろう。その成長次第では世界が大きく変わる。もちろん世界を撹乱させているトランプ・ショックからも目が離せない。
2025/04/13