川北英隆のブログ

農水省には猛省が必要

農水省の失政続きである。コメの値段の暴騰を防げなかったこと、野菜も不足したこと、さらには魚の問題もある。
農水省(正式名称は農林水産省)の姿勢は完全に守旧である。新しいこと、たとえば農林漁業を発展させる政策は「害」だとして退けてきた。これは自民党政権への票の主力の1つが昔からの農林漁業関係であり、その意向を農水省が斟酌してきた、今風に言えば忖度してきたからだろう。
その農水省の金融の中心的な組織である農林中央金庫(農中)が昨年度決算で大損をこいた。この問題は、極論すると農中に何の責任もない。配下の農協が、まだ戦後の高度成長期にあるとばかりにわんさか預金を集めるものだから、農中がその資金の運用に窮し、無理をしただけである。運用に無理があれば、いつかどこかで大きな損失を被るのは必然である。大損を被った時代のトップは気の毒でしかない。
言い換えると農中の大損は、本来的には農中をそもそも監督している農水省の責任問題である。そんな古い農林漁業の金融組織を残しておくのが正しいのかどうか、農水省は何も考えなかったのかと。多分、農水省の利権だとの認識しかないのだろう。
金融を離れると、農林漁業のあり方に大きな問題がある。
漁業には株式会社が参入しているのでまあいいとして、林業はどうなのか。国有林を政府組織が経営している。民間組織に任すことはできないのだろうか。自然環境保護の観点からは国有のほうが望ましいとは思うが。
農業は国有でもなく、零細な民営である。これでは、どう転んでも世界との競争に勝てるわけがない。勝てるとは理想論であり、実際は負けっぱなしだろう。大規模化を測り、かつ創意工夫が活かせるような規模の農業を図るべきである。そのためには耕作権をはじめとした農地の制度改革が必須となる。
国際的な競争力の確保、食糧自給率のアップは、現状の零細を維持し続ける農業政策とは明らかに矛盾し、両立は不可能である。なのに農水省は八方美人的な心地良いキャッチフレーズに徹しており、それに対して政府は何も言わない。そんな中、農業離れ、地方の高齢化と過疎化がものの見事に進行している。
今回のコメ騒動こそ、農水省の経済原理知らず、世間知らずをまざまざと見せつけたのではないか。ということで、「農水省には猛省が必要」となるのだが、当人は依然として「蛙の面に何とやら」のままかな。

2025/04/18


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